★2008年12月27日の記事を再掲

ユージニア (角川文庫)各章によって、一人称、三人称、レポートや手紙、日記形式などで書かれており体裁が変わっている。

この一人称は章によって人物の視点が変わるんだけど、語りかけ口調に加えて“ですます調”だったりするので、結構皆印象が似ている気がしてちょっと残念。どうせなら独白の形にした方が良かったんじゃないかなぁ、その方がキャラ付けしやすかったと思う。

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あと、語りかけ口調なので、聞き手=読者だとどうしても感じちゃうんだけど、後半この聞き手が登場した時物凄い違和感を覚えてしまった。なぜ違和感を覚えたかと言うと、この聞き手は女性だったから。

女性読者ならここで何の引っ掛かりもなく読み進められたと思うけど、僕ら男性読者の違和感ときたら結構なものだと思うなぁ。まあ、瑣末なことだけども。


でも、普通に面白いと思う。この証言者達の話を読んでいると、周りの人達って意外と隣人や近所の人間のことをよく見ているんだなぁ、観察しているんだなぁ、と感じてしまった。そう思うとちょっと怖いね。どこの誰が自分のことを見ているのか分からなくて。

それにしても、時折ミニカーという言葉が出てくるんだけど、それがどうしても“ミニ○カ”に見えてしょうがなかったw

結局、この事件の犯人だとかははっきりと提示されることはなくて、いくらでも深読みできるように本書はなってるんだけど、僕はあの青年が、あの彼らに毒を入れるように差し向けたんじゃないかと思うんだけど…だから、あの場所にミニカーが落ちてたんじゃないかなぁ?(←ぎりぎりネタバレにはなってないと思う)

このラストのぼかし方というか、消化不良ぎみなところが、物悲しさというものを誘っていて全然悪くなかった。

人が生きていくには、他人から「見えない」ほうがいいと本能的に知っている。それは「見える」人間の背負うリスクが怖いから。逆に、自分を他人と差別化したい人は、他人から「見える」ようになりたいと願う。


この「見える人間」「見えない人間」の考察は興味深かった。


小説以外 (新潮文庫)それから、本書を読み終わったあとに“ユージニアノート”と題されて装丁家、写真家などの言葉が収録されているんだけど、装丁家・祖父江慎のテンションと本書のテンションのあまりの落差に驚愕してしまった…。この方の顔写真は色んなところでよく見てたけど、キャラクターも見たまんまだったのね…。

追記として、本書はフランスのジャズピアニスト、ミシェル・ペトルチアーニに捧げられている。詳しくは恩田陸のエッセイ「小説以外」でどうぞ。







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