★2009年3月9日の記事を再掲
なんか超スピードで読めてしまったけど、良い話だった、うん。
「卵の緒」も「7’s blood」も両方テイストが似通っているんだけど、それぞれ惹き付けられるものがそこにはある。お手軽に感動を求めている人はどうぞ、という感じ。そこは裏切りません。
「卵の緒」のお母さんは、ほんとに良いキャラしている。思わず“こんなお母さん欲しいっ!”と思ったくらい。息子の育生とのやりとりがほんと面白いんだよね。
ふふふ。さすが育生。にんじんブレッドの出来上がりとともに起きてくるとは。にんじん伯爵の座はあなたに譲るわ。
なかなかにユーモアのあるお母さんだこと。でも寝起きにこんなことを言われたら、どう返答すべきか困るだろうけど。。
まあとにかく母と子の絆が上手く描かれている、それは解った。それよりなぜ育生の同級生の池内君が不登校になったのか? というのが気になってしまった。
終わりの方で池内君が久しぶりに学校に行くけれど、周りはそれを何事も無かったかのように振舞っている。まるで、その事実が当たり前かのように。そこにものすごく違和感を感じてしまったんですが……。母と子の絆を描くのに重きを置きすぎて、クラスの絆をないがしろにしてるんじゃないかと、そう思ってしまうね。
それから、「7’s blood」の方は、異母姉弟の話。「卵の緒」もそうだったんだけど、この話も母子家庭なんだよね。もしやと思ったら、あとがきに書いてあったんだけど、著者の瀬尾まいこさん自身も母子家庭だったとのこと。
この方の描く小学生って、なんかすごく冷静沈着で子供っぽく感じないなぁと感じてたんだけど、瀬尾さん自身もこういった子供だったのかなぁと思ってしまった。
「大人に気にいられないと生きていけない」と弟の七生は言っているけど、瀬尾さん自身もこういう思いで子供時代を過ごしたんだろうか。そういうことを考えたらなんともいえない気分になってくる。
まあでも、ちょっぴりシリアスな場面があるにはあるけど全体的には和むお話だった。七子と七生のやりとりがまた良いんだ、これが。最後はちょっとウルッときます。なんていうか、張り詰めていたものを解きほぐしてくれる、そんなお話。
「7’s blood」の方だけ、どうやら映画化されてたらしいです。蒼井優主演とのこと。観てみたい。