邂逅の森
★2009年3月11日の記事を再掲

しばらく積読状態だったんだけど、それが悔やまれるくらい面白い。読み始めは、方言とかが出てくるので読みにくく感じたんだけど、慣れてきたらもう先が気になってしょうがなかった。

マタギという狩猟者集団は、名前くらいなら聞いたことがあったけど、こんなスゴイ方達だとは思わなかった。普通のハンターとは全く違うようだね。

現代のマタギはどうなのか解らないけれど、槍なんかも使って獲物を捕らえたりするし。なにより熊を銃弾1発でしとめてしまうほどの能力を持っている人もいるというのが驚きだった(ある種の演出なのか、リアルなのかは定かではないけれど)

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集団なので、それぞれが役割分担をし、隊形を組んで獲物を捕らえるのが基本。集団のリーダーであるシカリが全体の指揮をとるという、まさに合戦に近い状態。本書を読んでて結構熱くなります(狩猟時代のDNAがそうさせるのか?)


それから彼らは非常に信心深い。山の神様を信じていたり、獲物を捕らえたあとは呪文を唱え、集団に属するための儀式なんてものもあったりする。

この職業がそうさせるのか、土地柄がそうなのか、はたまた時代がそうさせるのかよく解らないけれど、非常に高尚なものに感じられるね。「もののけ姫」なんかも想起させられた(まあ、日本人はあらゆるものに神を見出しているので、さもありなん)

ラストのコブグマの猟はほんと圧巻だった。壮絶すぎます。まさに意地と意地のぶつかり合い。いや、本能と本能のぶつかり合いという感じ。


そういった猟のシーンもさることながら、この物語は人間ドラマのウェイトも大きいのだろうね。主人公の富治はほんと人情に厚くて面倒見が良いんだこれが。

でも、彼を含めて皆心に闇を抱えたまま生きている。それを晴らそうとするというよりは、共存しようと努力してるというのがすごく伝わってきた。マタギを猟へ送り出す女性の強さというものも、痛いほど感じられる物語でもある。

生き物を殺すということは、人間が生きることに繋がっている。非常に考えさせられるテーマだよね。本書は獣の臭いや、森の香りなども感じられるほどの、非常に濃い物語だった。良書です。




邂逅の森 (文春文庫)
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