★2009年4月2日の記事を再掲

大聖堂 (上) (ソフトバンク文庫)本書は前作の200年後の話になっている。“大聖堂”という題名はついているけど、今作はあまり建築の方にはスポットがあったっていない感じ。

裁判や異端審問、ギルドでの集会など、何かしらに訴えを起こすことがメインになっているっぽいね。トラブルが発生すると、とにかく訴えを起こす。ある種今作の話は、そういった筋道がパターン化されているような気がする。

【スポンサードリンク】


前作同様今作も、トラブルが起こったあとに希望が見えてきたかなと思ったら、たちまち試練が与えられるというように、どんでん返しがとにかく続く。著者はSなんじゃないかと思わざるを得ないほどで、橋田壽賀子を彷彿させます。

まさにイギリス版「渡る世間は鬼ばかり」状態。なんとも憎らしい人間が沢山出てきて、もどかしい。あらゆる欲望に呑まれてしまって、クラクラしてくる。


それにしても、やっぱり宗教内の政治的なドロドロってやっぱり面白いね。聖職者といえども利己的な野心家が多いわ。本書のカーラスが修道院長に立候補するしないのくだりなんて、まさに民主党の小沢代表のケースを見てるようだもんなぁ。

あと、聖職者のくせに自分の都合の悪いことを言う女性に対しては、魔女だということにして異端審問にかけてしまうし。ほんとに神に仕えるものなの?と、訝ってしまう。男が薬を作ればそれは薬剤師となり、女だと魔女となるらしい。なんとも女性差別のひどい時代だこと。


ところで、この魔女なんだけど、どうも人々の間に共通の魔女のイメージが完成されたのが15世紀のことらしい。それで、魔女狩りのように異端審問で魔術を扱っていたのも15~18世紀ごろらしいのだ。

本書は14世紀を舞台にしているところをみると、あまり時代考証は気にしてないのかも。前作は12世紀を舞台にしているにも関わらず魔女が出てくるしね。まあ、女性を貶めるためのガジェットとしては、使いやすいといえば使いやすいんだろうけど。


鏡の影本書の後半はペストが猛威を振るっている時代が語られている。中性ヨーロッパ、聖職者、異端審問、ペストとくると佐藤亜紀の「鏡の影」なんかを思い出したりするんだけど、この時代は相当大変だっただろうなと想像に堅くない。菌の存在を解ってないわけだから、周りに感染していく様を見て相当恐怖したことだろうね。

それでもってペスト蔓延後は、トラブルの解決がペストにより当事者死亡で一件落着という流れになったりしていて、その辺は正直納得いかなかったなぁ。それはちょっとワンパターンすぎるよ。


まあとにかく前作ファンとしては、それなりに満足しました。まったく飽きさせない。ちょっとしたエピソードがいちいち面白い。でも、ちょっと中だるみはするけどね。だけど良作です。前作を読まずに、今作から入るのも全く問題なしだよ。






Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

« »

Post Navigation