★2009年4月8日の記事を再掲

ワイルド・ソウル〈上〉 (新潮文庫)ブラジル移民というものは以前から知っていたけど、それがアマゾンにまで入植していっていたことは本書で初めて知った。それが国家ぐるみの詐欺行為に等しかったということも含めて。

日本人入植者は、ブラジル政府から半強制的に未開の土地に移住させられ、現地語など解らないにも関わらず赤子同然の身で放り出されていたらしい。おまけにパスポートの没収なども行われていたとのこと。

日本の領事館に手紙で訴えるなどしても無視されるなど、悲惨極まりない状況におかれていた。土地を開拓してもスコールですぐに台無しになるし、病気が蔓延しても当然ちゃんとした治療なんておこなえない。まさに生き地獄としか形容できない。沢山の人間が無様に死んでしまっていた。

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そんなアマゾン移民の中で、生き残った人間4人が日本国政府と外務省をあいてに、報復を画策し実行するというのが本書の内容。

前半の過去編(南米)は、人間の必死な生きる様がありありと描かれていて非常に興奮させられるものがあった。生きるか死ぬかというギリギリのところを泥臭く這い進んでいる人間の様は、むしろ美しく見えてくる。コロンビア・マフィアなんかも出てくるし、流れている“空気”自体が面白い。


だけど、後半現代になって舞台が東京に移ったとたん、世界が狭まってしまったように感じた。一気に普通の小説になっちゃた気がするんだよね。社会派小説としても薄い気がするし。そこがすごく勿体無い。正直、南米を舞台にもっと長く引っ張るべきだったと思うんだけどなぁ。

後半出てくるテレビ局記者の貴子というキャラも、すごく違和感を覚えたしねぇ。なんか怒りの沸点が異様に高いし、なんかツンデレっぽいし、言葉遣いもなんかおかしい。

というよりこの著者は女性を描写するのが下手なんじゃないか? と感じた。「人非人!」「浮かれポンチ!」なんて罵り方をする現代女性なんて今時いないでしょうw


クライマックスやラストなんかを読むと、この貴子を主人公として据えたい著者の気持ちなんかも見えてしまったし、なんだかなぁという思いが募ってしまった…。ほんと勿体無い。

まあ、別に僕が勿体無いと思おうが思うまいが、この作品で3つの賞を受賞されたみたいなので、この内容で正解だったんだろうけど。。






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