★2009年4月19日の記事を再掲

白昼の死角 (光文社文庫)ふと法律を扱った小説が読みたくなったこともあり、ネットで調べてみて本書を手に取ってみた。うん、確かに法律を扱っているんだけど、主人公がいわゆるヤミ金を営んでいるということもあって、金融の話がメインという感じだね。

ここ最近この手の小説(金融を扱ったもの)をちょこちょこ読んだりしてたので、一瞬「またかよ」と思ってしまったけど、まあ普通に楽しめた。

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本書には“天才”が登場。カリスマ性があり、演出的で口が上手く(詭弁)、利己的で他人を欺くのも厭わない、悪魔的な自己陶酔者。なんかほんと絵に描いたような天才なんだけど、皆が深く崇拝している。

同じく金融を扱った小説「ハゲタカ」なんかだと、天才の周りを固めるように秀才が複数いたりするんだけど、本書では周りに凡人しかいない(凡人といっても東大生なんだけど…)。そこからボロが出るもんだからトラブルが発生して、話が展開していくというのが本書の流れという感じ。


天才と狂気は紙一重とはよく言ったものだけど、自分の思うようにいかないと気付いてしまった後の天才は悲惨きわまりないね。誰にも相談はできない。自分でとにかく抱え込んでしまう。

真の天才はもっと柔軟なんじゃないの? とちょっと思ってしまった。でも、もしかしたら周りから担ぎ上げられただけの天才だったのかもしれない。それはそれで可哀想な気がするね。


天才がこうして失脚した後、その天才の右腕として活動していた人物が、これまた天賦の才を開花する。この人物が主人公なんだけど、初めはものすごく人の良い青年だったんだけど、段々と人を道具のように扱いだし人間が変わっていってしまう。

頭が切れすぎるとうのも考え物だね。その才能を自分ひとりで研鑽していっていたら、もっと違う人生を歩んでいたかもしれないのに、深く分別がつかないうちに周りにその才能を見初められてしまったら人生が狂ってしまうことも多々あるのだろう。

天才の場合、自分で才能を開花させるのが良いか、他人によって開花させられるのが良いか、どっちなんだろうね。ちょっと考えさせられる。


金融の話なのに天才の話ばっかりしちゃったけど、本書の金融犯罪は昔の話で現在では通用しないみたいなので、特別言うことはないというのが本音。本書は人間ドラマとして読んだ方が面白いと思う。主人公と検事との構図が、「罪と罰」のラスコーリニコフとポルフィーリーをちょっとだけ彷彿させます。どういった語り口で難を切り抜けるかが読みどころ。


本書は、著者が実際にあった「光クラブ事件」の当事者に、犯罪の内容を10時間に渡って聞いたものを本にしたとのことです。

光クラブ事件 – Wikipedia


あと、この「光クラブ事件」はノンフィクション作品としても発行されているし、三島由紀夫もこの事件をベースに小説を書いていたらしい。三島の作品はちょっと気になるね。そのうち読もう。

真説 光クラブ事件 ―東大生はなぜヤミ金融屋になったのか― 青の時代 (新潮文庫)







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