★2009年5月11日の記事を再掲

屍鬼〈1〉 (新潮文庫)いやぁ~とにかく長かった。情景描写・心理描写が巧みで、これでもかこれでもかと描写されているから、それが余計に読むスピードにブレーキを掛けているという感じ。読むスピードにイメージするスピードが遅れがちになってしまうと言ったら解り易いかもしれない。それだけ描写は濃かった。

だけど、人物の外見描写なんかは限りなく少なかったという印象。その辺は、著者の思うところがあったのかも。

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本書は世間的にも結構評価が高いらしく、好きな本としてあげる人も多いみたいなので、多少期待しながら読んだ。まあ結論から言えば、個人的には普通な作品に感じたというのが本音。

序盤、人がばたばた死にだして、伝染病が蔓延してるんじゃないかと疑い出すところなんかは、我々の世界で起こっている“新型インフルエンザ”のことを連想して面白く感じたんだけど、その正体が判明した時点でちょっぴり冷めてしまった。


何が起こっているのかが解らない状態の時は、結構ワクワクドキドキしながら読めたのに、なんだか正体が判明するのが早過ぎたんじゃないかと…。どうにも恐怖感がそこで途絶えてしまったんだよね。だって、正体はアレなんだもんなぁ。いくら辻褄が合うからって原因をアレだと導き出したっていうのも、どうにもリアリティに欠けるしね。ちょっと解せませんでした。

だけど、村人達が戦おうと決起し出したところあたりからは、またちょっと面白くなったけどね。善と悪が逆転したんじゃないかと思わせる部分があって、なかなか読み応えがあったように感じる。


悪の側、屍鬼の言葉にこんなものがあった。

……どうして、わたしたちには神様がいないの? 悪魔でも魔物でもいいわ。わたしに奇蹟を施してくれるなら、それがわたしの神様だわ。なのにそれさえ持てないの。誰も慈しんでくれない。憐れんでくれない。掲げられる正義もないの。何ひとつわたしを保証してくれない。イデオロギーの問題でも価値観の問題でもないの。人の血がないと生きていけない。――これはそういう殺伐とした摂理の問題なんだわ。


この辺は、結構考えさせられるね。人を襲わずに済めば、敵対する必要もない。でも、襲わないことには彼らは生きていけない。飢えて死んでしまう。生理現象は止めることが出来ないものだし、彼らにとってはイデオロギーの問題ではなく当たり前のことなわけだ。

どうあっても友好的に共存できない相手と、同じ地上で生きていかないといけない。そこに気付いてしまったら、あとは絶望しか待っていないわけかぁ…。なんとも言えません。


屍鬼 1 (1) (ジャンプコミックス)それにしても、人が死にすぎるほど死ぬなぁ。本書は人の生死をテーマに掲げているとは思うんだけど、全篇通して人が死にまくるということもあり、感覚が麻痺しちゃって死に対しては何の感情も浮かんでこないという残念な結果に。。それだけ展開が在り来たりになっちゃてるんだよね。内容的に1000ページは削れそうな気がするんだけどなぁ。

解説で宮部みゆきが本書を手放しで褒めちぎっていたりするんだけど、やっぱり僕にはあんまり合わない作品だった。どうも漫画にもなってるらしいんだけど、多少気になるが今回はスルーで。








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