★2009年8月6日の記事を再掲

新装版 シャイニング (上) (文春文庫)あまりにも有名ということとホラーだということで今まで手を出してなったんだけど、表紙が松尾たいこに変わっていたようなので読んでみた。

なるほど、なんでシャイニングなんだ? と思ってたけどそういうことだったのかぁ。超能力なんだね。本書のことを完全に幽霊屋敷モノとしか思ってなかったんで、新たな要素に期待半面不安半面という感じでページを繰っていった。

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龍は眠る (新潮文庫)子供が超能力者ということもあって、宮部みゆきの「龍は眠る」、筒井康隆の「七瀬ふたたび」あたりを思い出すんだけど、本書の子供の場合は予知能力や霊感がちょっとあるくらいで、自分ではそれを操るということはあまりできないらしい。てことで、やはりメインは幽霊屋敷ということになってくるのかな?


この幽霊屋敷、たしかに恐ろしい。過去に色々と殺人事件も起こっていて、きな臭さはピカイチです。物語の後半になると、みんな(幻覚であったり、疑心暗鬼により)幽霊とかを見たり聞いたりするようになり、次第に平穏が崩壊してくる…。

なんだけど、なぜだか不思議とドキドキ感というものが無かったんだよね。割と驚きが少なかった。


もっとホラーだったら意外性とかそういうものが加味されて恐怖がかきたてられると思うんだけど、たぶん本書にはその意外性が少なかったんだろうなぁ、そう思う。結構登場人物の心理描写が克明に描かれているということもあって、読者に心の準備を与えちゃってると思うんだ。それによってある程度先が読めちゃうので、アクシデントに混乱することもない。

ある意味親切な書き手だなと思うけど、ちょっと残念かなと思ったりもするけど。でもその心理描写はすごく濃密で人間臭くてドロドロしてて良かったと思う。


僕が怖さを感じたのは、どちらかと言うと幽霊よりもこの人間の心理描写だなぁ。ほんとちょっとしたことで信頼関係に亀裂が入っちゃうものなんだよね。しかも憎悪というものを人間は、表に出す前に自分の中でこれでもかというくらいまで育ててしまう…。

実際に幽霊なんて出てこなくっても、この陸の孤島に一つ噂の類を流してしまえば、それで事足りていたかもしれないね。やはり一番怖いのは幽霊ではなく人間だよな…。


あと、本書の解説は桜庭一樹が書いてるんだけど、それが結構掌編小説っぽくて中々面白かった。







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