★2009年8月23日の記事を再掲

ミザリー (文春文庫)小説家(の作品)に対する熱狂的なファン心理とは、いくとこまでいくとこんな事にまでなってしまうのかと驚愕させてくれる作品だった。ベストセラー作家ならば誰しもが悩まされることなんだろうけど、本書はそれを逆手にとって小説にしてしまったということか。なかなかキングも図太いですねw

小説家である主人公を拉致監禁してしまう熱狂的なファンのアニーなんだけど、ほんと彼女の行動は狂気に満ち溢れている。信者的な人ってそれぞれ有名人に対して少なからずいると思うんだけど、それらともあきらかにベクトルが違うように感じるね。自分の信奉者を前にしても非常に自己中心的な振舞うし、精神を患っているようでかなり緻密な行動を取るなど相当厄介な存在。

【スポンサードリンク】


アニーは主人公に対して虐待をしている自覚もないし、主人公は相当な絶望感を味わっていただろうと思う。彼女の躁鬱の状態にも振り回されて、どうせなら殺してほしいと願ったりするなど読んでるこっちも何とも言えない気分させられます。

だけど、そんな主人公の時折覗かせるアニーに対しての猛烈な殺意も、非常に恐ろしかったりするんだよね。心の底では決して折れることのない気持ちを持ち続けて、主人公は助けがくるまで耐え続ける…。


なんでアニーはこんな女性になってしまったのか? 何があった? どうしてこうなった? という風にどうしても考えてしまう。彼女自身がノヴリル(薬物)の中毒者になってしまっているじゃないか? そう思わざる得ない。

クライマックスは、とにかく緊迫感があったなぁ。正直「シャイニング」より怖いよ。本書では「シャイニング」の管理人についての記述もあったりするんだけど、「ミザリー」の方が「シャイニング」よりリアリティもあったように感じるし。やっぱり、男が狂うより女が狂った方がより恐ろしく感じるのかもしれないね……なんとなく。


本書のあとがきに、あのジョン・レノンを暗殺したマーク・チャップマンはキングのファンだったらしく、キングはチャップマンにサインをしてあげたことがあったらしいことが書かれている。すごいエピソードだよね、これは。キングもレノンみたいなことになった可能性が少なくともあったというだけでも、なんだか恐ろしい気がする。

最後に、本書の解説は綿矢りさが書いてます。僕は初めて彼女の文章を読んだんだけど、結構硬めの文章を書くんだねぇ。ちょっと意外だった。まあ、小説と解説では違うんだろうけどね。







Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

« »

Post Navigation