繋がれた明日
★2009年9月15日の記事を再掲

なんて重い小説なんだろう。読んでて結構しんどかった、心が。

主人公は元犯罪者ということもあって、第三者からは理不尽な対応をとられるという生活を送っている。自分自身のせいで家族をも苦しめてしまうはめに…。本人は本人で世間に対して疑心暗鬼にかられてしまい、ひっそりと暮らそうと考えるが、周りがそうはさせてくれなかった。。辛すぎるぜ、まったく。

元犯罪者がお勤めを終わらせて刑務所から出てきたとしても、それでもって罪を償えたとは言えないというのは解るんだけど、本書のようなあからさまな差別というのは絶対にあってはならないことだと思う。

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著者は色々と調べて本書を書いたと思うので、実際にこのような立場に元犯罪者の方は置かれているのだと思うけど、ほんと生きた心地がしないんじゃないかと。

死んだ者は生前に犯した罪を問われず、被害者となって祀られる。残された加害者は、罪の足かせを一生引きずって歩くしかない


これもなかなか難しい問題だ。もし喧嘩の延長で図らずも人を殺してしまった場合、当然ながら被害者の側にも罪がある場合がある。「死人に口なし=死んだ方が勝ち」だなんてことは思わないけれど、生き残って全ての罪を被らされることになった加害者が、被害者のことを恨みたくなる気持ちも解らなくもない。

単純な構図ではあるけど、複雑な葛藤をもたらす。でも、何がどうあれ被害者家族の無念の想いはあって当然なんだけどね。


加害者側は“罪の深さ”と“罪の生まれた理由”を分けて考えようとするけど、被害者側は“結果としての罪”しか見ようとしない。そりゃあそうだよ、家族が殺されてるんだもん。しょうがないことだけど、そこにどうしても両者に壁ができてしまう。絶対に相容れるようなことはない。

それから、人間誰しも加害者になってしまう可能性があるのは解りきったことだと思う。本書を読んで主人公と自分を投影させて考えた時、正直自分ではとてもじゃないけれど耐えられないと思わざるを得なかった。ストレスは半端じゃないだろう。間違いなく鬱になってしまう。

本書では中傷ビラなんかも巻かれちゃうんだけど、ほんと読んでて辛かった。途中で読むのを止めてしまおうかと思ったくらい。そのくらい人によっては衝撃度が強いです、特に心理描写が。


いやぁ~なんというか、上手く感想は書けなかったけど読んでよかったと思う。正直、同じ著者の作品である「アマルフィ」や「ホワイトアウト」とかより、本書を映画化した方が随分と意義深かったんじゃないかなぁ。そう感じた。

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