★2009年11月19日の記事を再掲

増補版 -  ぐっとくる題名 (中公文庫)古今東西、色んなジャンルから題名を引っ張ってきて考察されているのが本書の内容。

なかなか読み応えはあります。普段から何か題名を付ける仕事をしているか、または将来その必要がある人にとっては、バイブルとなりえるかもしれない? と言えるかも。ただ、その考察の深さはその作品によってまちまちだったりするけど…。

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どのような題名が取り扱われているかは以下の通り。


助詞の使い方 「ゲゲゲの鬼太郎」「無能の人」「僕が泣く」
韻のリズム 「ヤング島耕作」「勝訴ストリップ」「噂の刑事トミーとマツ」
言葉と言葉の距離(二物衝撃) 「天才えりちゃん金魚を食べた」「部屋とYシャツと私」
題名自体が物語である 「脳手術の失敗」「お勢登場」「海へ出るつもりじゃなかった」
濁音と意味不明な単語 「しだらでん」「少年アシベ」「ディグダグ」
アルファベット混じりの題名 「D坂の殺人事件」「M色のS景」
古めかしい言い方で 「ツァラトストラかく語りき」「されど狐にあらず」

命令してみる 「大工よ、屋根の梁を高く上げよ」「メシ喰うな」
パロディの題名 「長めのいい部屋」「百年の誤読」
関係性をいわない 「隠し砦の三悪人」「11人いる!」
先入観から逸脱する 「淋しいのはお前だけじゃな」「サーキットの娘」
日本語+カタカナの題名 「少年ケニヤ」「三人ガリデブ」
いいかけでやめてみる 「光ってみえるもの、あれは」「飼い犬が手を噛むので」
いいきってしまう 「これからはあるくのだ」「幸せではないが、もういい」

漢字二字の題名 「趣向」「発表」「嫐嬲」
長い題名 「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」「おそうじをおぼえたがらないリスのゲルランゲ」「あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう」
続編の題名 「ニュー・三匹が斬る!」「ALIENS」「ブラウン神父の童心」「それから」
題名同士が会話する 「今夜わかる」シリーズ「買ってみた。」「それが本当なら」
洒落の題名 「屁で空中ウクライナ」「ザ・先生ション!」
読むと、愛着が生じてしまう 「アメリカ」
人気歌人に学ぶ 「どうして長嶋有さんは枡野浩一なんかとつきあってるの?」「日本ゴロン」「世界音痴」「にょっ記」


こうして見てみると、結構色んなパターンに分けることができるもんだねぇ。


本書の考察はいわゆるコピーライティングの作法とは違うんだろうけど、でも題名だけじゃなくキャッチコピーあたりを考えたりする時にもかなり参考にはなるんじゃないだろうか。

というより、最近の題名の方が、キャッチコピーに近づいてきているというのが現状なのかもな、とちょっと思ったけど。いかに目を引く・キャッチーな題名を付けるかというのが重要になってるよね。奇をてらった感じのものも増えている。


個人的に上記の中で一番ぐっときたのは「ニュー・三匹が斬る!」でした。

 僕は昔「ジャージの二人」という小説を書いたことがある。続編の題名は「続・ジャージの二人」にしたかった。最近「続○○」って題名をみないよな、と思い、あえてやろうとしたのだが、編集部から変更を持ちかけられた。
「『続』とついていると、読む人が減る」というような主旨のことをいわれた。前を読んでいないと楽しめないだろうと思われるという。なるほどと思い、引き下がった。「続○○」と題名につけてみたいという自分の願望もうまく説明できなかったし。
 文芸誌のような舞台では「読む人が減る」かもしれないが、テレビの時代劇などは定番としてシリーズ化されることが多く、「続」や「新」はむしろ率先してつけられる。
「三匹が斬る!」シリーズはどうだろう。歴代の題名をすべてみてみよう。

三匹が斬る!(’87)
続・三匹が斬る!(’88)
続々・三匹が斬る!(’90)
また又・三匹が斬る!(’91)
新・三匹が斬る!(’92)
ニュー・三匹が斬る!(’94)
痛快・三匹が斬る!(’95)

 冒頭で述べたように、続編というのは、新規の創作ではないわけで、志を低くみられるというリスクがある。しかし、時代劇などでは定番に育てることが大事な面もあるだろう。三匹シリーズは、むしろ「開き直った」ような題名をつけている。続々、あたりで、次はどうするのかな? と思っていたのだ。「また又」ときて、ますは唸った。
 だけど「新」あたりで、いよいよ苦しいだろうと思っていた。実はこのとき僕は予想もしたのだ。次作は「もう三匹は斬らない」ではないか、と。しかし惜しくも外れて(注・気にしないでください)、ついにニュー。苦し紛れには思えなかった。「しれっといってみせた」という方が、僕の実感に近い。


これはすごい。「新」の次が「ニュー」だとは…。確かに間違ってはいないのだが、斬新すぎるぜまったくw 


とまあこんな感じで、なるほどと思うことは多々あったけどそれ以上の感動はなかったわけですが、でも今までそれほど題名について深く考えることをしてこなかったので、ある意味新鮮だったかなという気分です。

やろうと思えばいくらでも深読みってできるんだろうね。小説とかだったら、中身を読み始める前に題名だけを見て、まず色々と想像してみるのも面白いのかもしれない。僕はめんどくさくてしないだろうけど…。でもこれからは、もうちょっとだけ題名にぐっとせまっていきたいと思います。






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