そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります
★2009年12月2日の記事を再掲

てっきり小説だと思って買ったんだけど、まさか随筆集だったとは。思いっきり裏表紙に書いてあったみたいで、それをほとんど見ることもなくレジに持っていっちゃいましたが。

うん、なんというか予想以上に面白かった。初めての川上未映子体験だったわけだけど、読み進めていくうちに抜け出せなくなる文章の妙味というものがあるね。いやぁ~驚いた。

文体的に言うと、町田康あたりを想起させられる。あと、ブローティガンっぽくも感じるね。だけど、かなり自由に書いているという印象で、オリジナリティもすごく感じられます。まあ、本のために書いていたわけじゃなく、WEBにおいて書かれていたものらしいから自由度が高いのかもしれないけれど。


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いわゆるピカソとかのキュビズム的な文体だなぁなんて、ちょっぴり思った。複数の視点を一つの枠の中に入れ込む技法がキュビズムなわけだけど、川上さんの文章ってまさにそんな感じなんだよな。一文の中に、とにかく色んな視点・感情、さらには虚と実も一緒くたに盛り込まれてるように感じる。そこが面白いと感じると同時にややこしくもあったりw


もしかしたら色々と誇張して書いているかもしれないけれど、川上さんにとっての日常は、瑣末なことまで事件なんだろうなと思わしてくれる内容です。本人にとってはほんとそうなのかもしれない。人生を退屈することなんてなさそうだ。

奇跡っつうぐらいのもんで

 今日私を含めて往来する人々を見ていたら、これまでの我々はなんという任意の信頼関係で結ばれて、なおかつ先天的な距離を保ちながら完全に棲息していることだろう今のところ! だって歩いていて突然ふくらはぎを噛みつかれたことないし、熱湯の鍋に引きずり込まれたこともない。けれど当然のことながらこれから先は判らへん。偶然の信頼の上で成り立っている何事も起こらない日常と、突然殺されかけたりする日常の、いったいどっちが奇跡に近い出来事やろうか、どっちも奇跡か、どうも奇跡。やあ奇跡。


この奇跡という事柄について、僕もよく考えたりしてたことがまさにここに書かれていたのでちょっと驚いた。ほんとどちらが奇跡なんだと考えちゃうよね。


最近ニュースで見たんだけど、駅のホームにいた人が自分の靴紐を自分で踏んでしまって線路に落ちてしまったらしい。その人はたまたま線路の真ん中にうずくまるように伏せて、かすり傷程度で九死に一生を得たとのこと。そのことについて本人が「これは奇跡だ!」と言っていたらしいんだよね。

ほんとにこれって奇跡なのか? 正直僕はそう思っちゃいましたが。そもそも靴紐を踏んで線路に落ちちゃったこと自体が不運過ぎるんじゃないかと。では、線路に落ちることもなくホームでただ電車を待つ人達のことをどう判断するんだ? それこそ奇跡なんじゃないのか? と、そういう風に感じてしまうわけです。平穏に生きてるってこと自体が、ほんと奇跡。やあ奇跡。


てな感じで、僕自身の考え方と似通った部分がちょこちょこあったので、なんか一気にファンになっちゃいました。本書以外の書籍も早く文庫化しないかなぁ。待ちどうしい。

そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります (講談社文庫)
川上 未映子
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読みにくい文体だけど発想の転換はスゴイ!「わたくし率 イン 歯ー、または世界」(川上未映子)







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