★2009年12月7日の記事を再掲

Helpless (角川文庫)10年くらい前に浅野忠信にハマっていた時期があって、彼主演の映画をよく観てたんだけど、そんな中でもこの「Helpless」は結構好きな作品だった。

今回小説として読んでみて、映画の中に漂っていた物悲しさというものが文字によってより濃く感じられ、懐かしさよりも切なさが込み上げてくるね。(以下、映画を観てないと分からない場合有り)

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Helpless [DVD]映画を観た感想として、主人公の健次とヤクザの安男は同じように“父親”という存在に縛られて、同じような境遇や心境なんだろうなぁなんて思ってたんだけど、小説を読むとそれが違った認識だったということを改めて思い知らされた。

お互い“父親”という存在に対して愛情があるからこそ、それにこだわり、葛藤している。そう僕は思っていたんだけど、どうやらそれは違っていたらしい。

健次の方は父親を捨てようと考えたみたいだね…小説を読んで初めて解ったよ。健次はそれが出来ずに背負い込み、自らも追い込んでいたわけだ。二人は似ているようで相反する二人として描かれていたとは…やられました。


ドライヴインでの狂気のシーンは、映画では象徴的なシーンとして描かれていたけど、本書では健次の同級生・秋彦の回想シーンとして割とあっさりと描写されている。この辺は映画と結構違うね。


本書は短編が3作収録されていて、「Helpless」以外の2作はその秋彦が主人公として描かれている。正直、健次の物語がもっと読みたかったのに、よりによってなんで秋彦がメインなんだ?って思ってしまった。そこがちょっと減点ポイント。

映画ではこの秋彦ってキャラは嫌いだったのになぁ。映画を観て、秋彦が好きになったって人はかなりの少数派だと思うんだけど。青山真治にとっては、相当思い入れのあるキャラなんだろうね。

この秋彦も、父親ではないんだけど“自分と同じ匂いのする人間たち”にとにかく縛られしまい、段々と堕ちていってしまう。過去のことを思い後悔したり、しまいには現実逃避してみたり、とにかくネガティブ。でもある意味では等身大な感じで、人間臭くもあり、読み手自身もついつい自分を投影させてしまうかもしれない。


なんというか、3つ目の物語はある意味衝撃的だね。「Helpless」の話が覆されてしまう。なんでまたこんな変な方向に飛躍してしまったんだろう…。よりによって、そっちの方向とはね…。映画を観た人は自分の眼で確かめてみてください。

ちなみにだけど、表紙のイラストは田島昭宇だよ。







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