リピート 乾くるみ
★2009年12月15日の記事を再掲

「イニシエーション・ラブ」に続いて本書を読んでみたんだけど、相変わらず設定やトリック自体は面白いと感じた。序盤は結構ワクワク感があります。

ただ、読み終わってみて、著者はそれを物語としてやっぱり活かしきれていないように感じられたね。惜しいなぁという感じでもない。なんか全体的に目新しさというものも感じないし、ほんと普通な作品という印象。

本書はケン・グリムウッドの「リプレイ」、アガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」のオマージュ作品らしいんだけど、そのように事前にネタ元を晒しているところはなかなか潔いと感じる。


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リプレイ (新潮文庫)解説にもあるんだけど、この「リプレイ」からアイディアを拝借したような作品は結構あるみたいだね。ここ近年、日本で放送されたTVドラマの中にも結構あるらしい。普段僕はドラマを観ない人間なので、TVドラマにそんなSF要素を入れている作品が結構あっただなんて、ちょっと驚きです。


本書は、「リピート」をしてパラレルワールドに行き、一度体験した人生をもう一度やり直すという内容になっている。そこでは、前の世界で体験したこととはちょっと違う人生が待っていた、というのが大きな流れ。ここでSFファンにはお馴染みの“カオス理論”がキーになっているわけです。

それからミステリー要素として、「そして誰もいなくなった」のように、どんどん主要人物が退場していってしまうというのが本書の見所、なのかな? 正直、その辺があまりにもあっけなくさらっと描かれていて拍子抜けしてしまったんだけど…。ミステリーではあるんだけどSF要素も入っているので、推理もしづらいし、まあ坦々と読み進めるしかなかったわけですが。。


400ページを超えたあたりから解決編になるんだけど、そこからが面白かったという印象なんだよね、個人的には。そこに至るまでは、ほんと盛り上がりに欠けると言ってもいいんじゃないかな。山場らしい山場はあるにはあるんだけど、沸点はかなり低い、しかも冷めやすい

全体的にもうちょっと物語を短く簡潔にしておけば、もっと面白く感じられたと思うんだけどなぁ。300ページくらいで収まる内容だったんじゃないかと思うんだけど。それから、主人公が恋人を殺してしまった後の、少し狂気に走りかけている描写に、もっともっと力を注いだ方が面白くできたと思う。ここがほんとに勿体無かった。


なんというか、乾くるみ作品は自分には合わないのかもなぁ…。


リピート (文春文庫)
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