★2009年12月18日の記事を再掲
中編集だとは知らずに買ったんだけど、まあそこそこ面白かったです。
中編なんだけど、ちゃんと伊坂幸太郎らしさは出ていたと思う。言葉遊びやミステリー要素など、他の短編・中編連作作品よりもそれなりに満足度は高いかな? という感じ。
「魔王」あたりから僕の中で伊坂さんの評価は下がっていたんだけど、本書によってちょっぴりだけ盛り返しました。なんか不思議と新潮社から刊行されている作品は、他の出版社と比べて面白いような気がする。まあ気のせいかもしれないけれど。
4作品ある中でどれが一番面白かったかと言えば、やっぱり表題作の「フィッシュストーリー」だろうな。全体的にご都合主義全開な物語ではあるんだけど、この物語に限ってはその繋がり方をむしろ楽しむべきであって、無論楽しむことができた。
読み手がこうであって欲しいと思っている道筋をそのまま行ってくれるという感じで、かなりの安心感があります。
言わばJポップ並みの安心感。Aメロ-Bメロ-サビ-間奏、みたいな感じで、その流れが分かり易くて心地よい。話の先が読めちゃうけど、落ち着くところに落ち着いてくれるという、中編ながらに完成度は高いんじゃないかなぁ。
ただ、一人称ということもあり、バンドの演奏シーンの描写はちょっと微妙な感じはしたけど。
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伊藤淳史が主演なのかぁ、僕のイメージとはずいぶん違うんですが…。ベーシストは多少背が高い方が、らしくて良いんだけど。
それから「ラッシュライフ」に登場していた黒澤が出てくる話が2つ収録されているね。まあ別に悪くはなかったけど、2つともちょっと中だるみしてる感じだわ。途中読んでてしんどくなってしまった。特に「ポテチ」は会話文が多過ぎ。
なんだかんだで「動物園のエンジン」が一番好きかもな(面白いと好きは別)
▼“緊張と緩和”の振り幅が少ない「ゴールデンスランバー」(伊坂幸太郎)