★2009年12月25日の記事を再掲

虫眼とアニ眼 (新潮文庫)本書は養老孟司と宮崎駿による対談集なんだけど、うん、なかなか面白かった。

「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」が公開された後の対談ということもあり、それらの映画に関連させて主に子供教育・自然環境の話が語れている。

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まず手始めに、宮崎さんはヴァーチャルなものばかりに取り囲まれている現代の子供達のことを危惧しているようだね。「生活のあり方を変えないとこの文明は亡びるぞ」とまで言っている。

自分自身の子供時代のこととも比べたりされてるんだけど、遊び方一つ取っても今とは相当様変わりしてることだろうと想像に難くない。当然ながら育てている親についても少し釘を刺してます。

となりのトトロ [Blu-ray] ただ、確信がないと言っても、仕事柄どうしても、子どもたちはどうなんだろうということを、いつも思い浮かべて生きているものですから、親から、「うちの子どもはトトロが大好きで、もう100回くらい見てます」なんて手紙が来ると、そのたびにこれはヤバイなあと、心底思うんですね。誕生日に一回見せればいいのにって(笑)。結局、子どもたちのことについて、なにも考えてない。だって結果として、養老さんが言うところの脳化社会にぴったり適応するような脳みそ人間だけを育てようとしてるでしょう。トトロの映画を一回見ただけだったら、ドングリでも拾いに行きたくなるけど、ずっと見続けたらドングリ拾いに行かないですよ。なんで、そこがわからないんだろうと思うんだけど。いっそビデオの箱に書きたいですね、「見るのは年に一回にしてください」って(笑)。


親なら子供が見たいと言えば何回でも見せちゃうだろうね。宮崎さんは3歳になるまで子供にテレビは見せるなとも言っているし、子供にとってはヴァーチャルなものから受け取る情報でも相当な影響があるのは確かなのでしょう。

簡単に言ってしまえば、(外の世界での)好奇心の減退になるのかな? そういったものが家の中でほとんど満たされてしまうという怖さは確かにある。

 美術館で「千と千尋の神隠し」の絵を展示するでしょ。そこには湯婆婆のこんなでかい顔を壁にどんと張ってあるんですけど。そうするとね、その前で突然、湯婆婆のせりふを言い出す子がいるんですよ。何回見に行ったか知らないけど、まだビデオ化していませんから一回か二回のうちに覚えているんでしょうね。それを見て、自分たちの映画がすごかったと思っているスタッフがときどきいますが、とんでもない錯覚です。
 本来、子どもというものは、年長者の言っていることを意味もわからずまねしたりして言葉を覚えていったはずなんです。その機会が減っているから、代わりにアニメーションでやっているだけなんです。あの映画に力があるからじゃないんです。どんなに仕組んだところで、アニメーションのワンショットで表現しているものというのは、しょせんその場で、ある目的のために才能と時間の制約の中で描いた絵が動いているだけです。そんなにたくさんの情報は入っていないんですよ。情報ということだったら、隅から隅まで見たところで限度があるんです。
 でも、子どもたちの心の流れによりそって子どもたち自身が気づいていない願いや出口のない苦しさに陽をあてることはできるんじゃないかと思っています。ぼくは、子どもの本質は悲劇性にあると思っています。つまらない大人になるために、あんなに誰もが持っていた素晴らしい可能性を失っていかぜるをえない存在なんです。それでも、子どもたちがつらさや苦しみと面と向かって生きているなら、自分たちの根も葉もない仕事も存在する理由を見出せると思うんです。


子供のお守りはアニメという風になってしまっている時代だよね、今は。それによって、年長者との会話も減ってきているということなのかな? なんかそれはそれで寂しい時代になってもんだ、親は楽かもしれないけれど…。


それにしても、宮崎さんはすごい信念を持って映画作りをしているんだね。そこまで考えているということに、ちょっと驚いてしまった。ほんと四六時中、子供のことばかり考えてそうだなぁ。

だけど、子供自身はそこまでのことを、映画から読み取ることはまずできないと思うけどね。彼らにとっては、映像がキレイ、動きが面白いってことが全てだと思うし。


まあなんというか、基本今の世の中を嘆くばかりで誉めるということはしてないね、両者とも。主に宮崎さんなんだけど、養老さんはそれに賛同するという形が多い感じ。宮崎さんが左翼だと言われるのは、こういうところからも来てるんだろうかねぇ? 非常に自虐的な感じの印象も受けてしまう。歳を取るとこういう感じになっちゃうのかもしれないけれど。

関係ないけど、養老さんが「もののけ姫」の時代考証はむちゃくちゃだと、面と向かってさらっと言っちゃってるところがちょっと面白かった。作品自体は誉めてるんだけど。






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