スロウハイツの神様
★2010年2月10日の記事を再掲

本書の著者である辻村深月とは年齢が同じということもあって、ずっと気にはなりつつも、なぜかずっとスルーしてました。今回なんとなく読んでみようという気持ちになって本書を手に取ってみたんだけど、なんというか見事にやられたとしか言いようがない。うん、すごく良かった。

登場人物が皆クリエイターというところが、まず惹きつけられる要素だよね。彼らがどのように創作活動をしているのか、その裏側を垣間見ることができて非常に興味深かった。

プライベートを取るか、はたまた創作(夢)を取るか。天才を前にした悔しさや、それに伴う自己嫌悪。パクリやオマージュの問題。皆それぞれが色んなスタンスや譲れない気持ちを抱きつつ、創作に明け暮れる日々が本書では描かれている。

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正直、傍から見たらクリエイターって楽しそうだなぁ、カッコイイよな、なんて思うのが普通なんだけど、実際はそんな軽い言葉で言い表せるほど甘いものではない。創作が好きで好きでたまらない、それ以外のことはほんと蔑ろにできちゃうような人じゃないと続けていくのは本当に困難なのだ。

僕自身も以前デザインスタジオに勤めてたことがあるので、そういった天才達を目の当たりにしてたから、ほんと読んでてなんとも言えない気分になりましたとも。僕の場合、この人達に付いていったら創作するという行為自体が嫌いになってしまうと思って、その世界を捨てちゃったんだけどね…。


本書ではそういった辛い裏側も描かれているので、変な憧れは抱かせ過ぎないところも良かったと思う。それだけじゃなく、これを読んだらなんとなくだけど、何かしらモチベーションが上がったような気もしなくもない。それだけ、本書の登場人物は皆頑張っているし、人に行動を促すような姿勢を見せてくれているというわけだ。


それから、本書はヒューマンドラマとして考えてもほんと良く出来ている。最終章なんて、ほんとウルっときました。それ以前の章とはなんか毛色が変わっちゃった感があったけど、読みながら胸を締め付けられる思いだったなぁ。正直、ここまで感動を完璧に創作されちゃうと、ご都合主義的な部分なんて吹っ飛んじゃうよね。やられたとしか言いようがない

エピソードなんかも、これでもかというくらいテンコ盛りなんだけど、合計約800ページの長編にも関わらず、最後まで物語が破綻せずに書き切ったというところもスゴイと思う。はっきり言って、文章はそんなに上手いとは感じなかったけど、構成力というか物語るチカラは相当あるように感じたね。


なんか一気にファンになっちゃいました。そのうち他の本も読んでみたいと思う。


スロウハイツの神様(上) (講談社文庫)
辻村 深月
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葛藤、不安、恐怖の連鎖「子どもたちは夜と遊ぶ」(辻村深月)








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