東京島 桐野夏生
★2010年5月15日の記事を再掲

無人島と聞いて「蝿の王」みたくちょっと緊迫したものを想像しながら読んだんだけど、あんまりそんな感じでもなかったというのが読後の印象。かといって、穏やかというわけではない。でも、非常に淡々としている。

ラスト付近で発狂してしまう人が出てくるには出てくるんだけど、基本的には絶望している感じでもなく、不思議とそれぞれがサバイバル生活を楽しんでいるようにも読めてしまうんだな、これが。

読み進めるほどに、みんながサバイバルに順応していく様が見て取れるし、意外性というものが非常に少なく感じてしまった(でも、実際問題、時間とともに慣れていくのが人間のリアルなのでしょう)


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個人的にはもっとピリピリしたものが読みたかったなぁ。緊張の糸が張り詰めているような感じのやつをね。31人の男に1人の女、なおかつその女は島で一番の年寄り(40代半ば)という秀逸な設定なだけに、ちょっと勿体無かった気がしてならないや

その設定であったならいくらでもピリピリしたものが創作できたと思うんだけど、そこはこの主人公でもある女の性格が緊迫感を薄れさせちゃっているのだろうなぁ。まあ、とにかく図太い性格。ほんとこれに尽きます。

やっぱ女性は強いなぁと感じざるを得なかったわけで。もう少しだけか弱ければ、と何度読みながら思ったことやら…。


それにしても、こういった閉鎖的な環境においては、どんな形であれ強烈なリーダーシップが輪を強固にさせるものなんだね。それがたとえ、頭のネジが多少緩んでいようが発狂していようが。

とにかく道を示してくれる人間、何かを決めてくれる人間、そういった者に皆は同調していく。まあ、ある意味人間の本能なのでしょう。


それから、本書はこの夏に映画化されるらしい。

話題映画『東京島』の最新予告動画が到着!

上記のリンク先から予告編が見れるんだけど、主人公・清子役を木村多江さんが演じるみたい。なんというか、本書を読んだ人なら誰もが感じると思うんだけど、全くイメージと違うわけで…。

こんなスリムで綺麗な感じではないと思うんだけど。個人的には、渡辺えり子のイメージなんだけどなぁ。


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