愚行録 貫井徳郎
★2010年5月18日の記事を再掲

店頭のPOPと帯に「杏さん(モデル・女優)推薦!」とあったので、何となく買ってみた。その杏さんは本書をこう評している。

読みやすく、読みづらい。口語体だからこその読みやすさと読みづらさ。そしてリアルさ。凄惨な描写は一切無いのに、ひとの恐ろしさ、愚かさが露呈していく恐怖。嫌悪感。そして最後に待ち受ける衝撃。地上何階かのビルの中、ドアと言うドアを次々と開けて進んでいったら、最後のドアが外に直接繋がっていて思いがけず真っ逆さま、そんな印象のラストでした。


この「ドアと言うドアを次々と開けて進んでいったら」というくだりは、なかなか言い得て妙な感じがする。本書はほんと読んでて、一体どのように展開していくのやら、どのように落ち着くのやら、全く予想できないまま読み進める他なかったもんなぁ。

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インタビュー形式のものって概してそんな感じではあるんだけど、本書は特にそんな印象が強かったように思う。非常に淡々としているんだけど、筆力があるので結構読ませます。

それに、証言者による被害者の人物評を、読者が盗み聞きしているかのような錯覚すら起こしてしまうところなんかも、惹きこませる要因なんじゃないかと。

世間では好印象を持たれている人物の裏側が語られるというギャップ。普段ワイドショーなんかを好んで観ている方にはたまらないかもしれない。


こういうのを読むと、どんな人にでも他人に恨まれるケースなんていくらでもあるんだなぁと、しみじみ感じちゃうよね。体面が良い人でも過去に何をやってたかなんて、ほんと分からないものだ。

証言者達はみんな恣意的に解釈して発言していて客観性は薄いのかもしれないけれど、それらも含めてリアルさを感じる。


最後、本書のタイトルについて。これは証言者、被害者、加害者の愚行を指してこのタイトルになったのだろうと解釈する人が多いと思う。でも僕の解釈はそれらと違って、「兄が加害者である妹のことを思い、この突発的な犯罪を正当化させるために行動しているその姿こそが愚かである」というところから付けられたんじゃないかと、そう感じてならない。


愚行録 (創元推理文庫)
貫井 徳郎
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違う視点で見えてくる宗教「夜想」(貫井徳郎)







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