わたくし率 イン 歯ー、または世界
★2010年8月1日の記事を再掲

本書はとにかく人を選ぶ作品なのだろうね。評価も賛否両論なのでしょう。僕自身は面白く感じたけど、どこがどう面白いかは上手く説明できないところがもどかしく感じる。

川上未映子初の小説集ということもあって、いわば彼女の一番表現したかったことが書かれているのだと想像に難くない。それにはやはり自分自身が一番書きやすい文体で書かれることが望ましいのでしょう。彼女の場合はそれが関西弁だったわけだ。

小説を読んでまずその作品の良し悪しと判断する最初のものは、どうしたって文体になってくると思う。そこで駄目だと判断しちゃうと、もうこれ以上読みたくないと思うのが読者の性。本書はある意味で、そういった部分にも挑戦がされている。だって、ほんとにこの彼女が紡ぐ“言葉”は非常に読みにくいんだもん。

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この読みにくい文体を面白いと取る人もいれば、日本語勉強しろよと取る人もいる。面白いと取った人、おめでとうございます。本書を楽しむ権利を与えられました。← という感じで、そういう人じゃないとなかなか読み進めるのも困難なのだろうね。


本書はいわゆる妄想女の物語なんだけど、それがほんとすっごいキャラクターに描かれていて、この発想の転換はスゴイという場面が多々あり、個人的にはなかなか楽しめました。哲学談義にも取れるようなものもスパイス的に挿入されているので、単なる妄想女の日記になってしまうところを上手く回避してて良かったんじゃないかと。

クライマックスの女性2人の長広舌も、一気に謎が解明したような感じで結構良かった。本書はある意味で叙述トリックものなんだろうか? そういう風に読み返すと面白いかもしれない。


関係ないけど、彼女にゴーストライターがついているという話が時折ちらほら耳に入ってくる。正直、個人的には著者の名前で作品を評価しようとは思わないので、たとえそれがゴーストライターであろうとも作品が面白ければなんでも有り。僕はそういうスタンスです。

著者名なんて、ほんと記号でしかないと思うんだ。同じ著者の作品でも面白いものもあれば、そうじゃないものもあるのは当たり前のことだし、あくまで読む物を選ぶ時の参考程度にしかならないとは思う(あくまで個人的に)


わたくし率 イン 歯ー、または世界 (講談社文庫)
川上 未映子
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自分の都合にしたがって世界を解釈「ヘヴン」(川上未映子)







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