未成年 ドストエフスキー
★2010年8月17日の記事を再掲

数年前に岩波文庫版(米川訳)を読んだんだけど、今回新潮文庫版(工藤訳)を読んでみた。

新訳「カラマーゾフの兄弟」「罪と罰」でブームが来て今年「白痴」「悪霊」の新訳が出るから、もしかしたら「未成年」の新訳も近いうちに出るか? なんて思いながらも本書を手に取りました。なんだか無性に読みたくなったもので。

本書は、世間において五大長編の中で一番評価が低く人気がない作品ということになっているんだけど、面白さは他の作品にも負けてはないと個人的には思う。


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ストーリー展開に関しては他の作品に劣るのは否めない。ただ、“深み”という点で見たら「罪と罰」あたりには勝っているんじゃないだろうか?

何が深いかと言えば、やはり心理描写であると言える。ロスチャイルドに憧れるニートでしかもアクティブという主人公の小説なんだもん、そこの思考が面白くないわけがない。


おまけにファザコンの主人公。父親の方も子供に対して歪んだ愛情を持っているときたものだ。正直この複雑な親子関係、どう形容していいのやら解らないくらい込み入ってます。

この父親、「罪と罰」で言うところのスヴィドリガイロフに当たるキャラクター。「罪と罰」とは違ってこのキャラが全編に渡って登場して物語を引っ掻き回すので、エンタメと見てもなかなか読み応えがあるんじゃないかと。


思想という点から見ると、そこはちょっと薄いかもしれない。ちょろっとそういった議論的なものがあるにはあるけれど、全体的に見るとそれほどでもないかもな。本書はヒューマンドラマ、恋愛に絡んだ愛憎劇、といったものを求めて読んだ方がベストかも、そんな気がする。

それから、本書2008年に復刊したバージョンではあの佐藤優が解説を書いています。こちらもある意味で必読かもしれない。


未成年(上) (新潮文庫)
ドストエフスキー
新潮社
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スタヴローギンの告白・新訳もあるよ「現代思想2010年4月臨時増刊号 総特集=ドストエフスキー」







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