赤と黒 スタンダール
★2011年1月8日の記事を再掲

「とんでもない恋愛小説を読んだ」というのが、読後の素直な感想。「何この駆け引きすご過ぎない!?」と何度思ったことやら……。恋愛とは格闘技にも似ていると初めて思ってしまったかも。

序盤のレナール夫人とジュリヤンの恋愛に関しては、「世間知らずの奥様が、自分の周りにいる者とは全然違うタイプの人間に対し盲目的に惹かれてしまう」というものなので、これはまあ普通だったというか、それついては特別多く語る気はしない。

それより何より、中盤以降のマチルドとの恋愛の部分が、なんだかもう複雑だったとしか言いようがなく、両人がいかにイニシアチブを握るか、そういう駆け引きが延々と続いていくから、ほんとに目が離せなかったものだ。

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とにかく相手に弱みを見せるのが嫌だという両者。特にマチルドの方がプライドの高さが天井知らずなので、恋心の移り変わりがものすごく激しいのですよ、これが。

思想信条もかなり高尚なところにありすぎて、なんだか我々一般人には理解しがたい部分が多々あったように思う。いや、理解しがたいというより、共感しにくいと言った方が正しいのかもしれない。


簡単に言ってしまえば、英雄“像”に恋していると言う感じなんだろうなぁ。どうしたって、そこに相手ともズレが生じてしまうわけだ。あくまで像、イメージに恋をしている。そこには本来、生身の人間が入り込む余地なんてないはずなのに、そういったイメージを生身の人間に要求してしまうから性質が悪い。


でも、まだ10代女子だもんなぁ。いわゆるアイドル歌手とかに恋をするのと全く一緒なのかもしれない。それでいて異様に頭が賢く政治にも強くなっちゃうと、なんだかとんでもない理想像を作り上げちゃったということなのでしょう。

こうやって見てみると、マチルドという人間も賢い割には非常に盲目的な人間なんだなと、ちょっとしみじみ感じてしまった。全く逆のタイプだと思っていたレナール夫人と実は似たようなタイプであった、ということなのかもしれないね。


ちなみに、本書は“誤訳博覧会”なんて一部で言われているらしいけど、自分はそこまで気になりませんでした(普通に面白い)


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