冷血 トルーマン・カポーティ
★2011年8月1日の記事を再掲

本書は小説家が書いたノンフィクション作品なんだけど、さすがに“物語”として面白く仕上がってるものだね。

以前、日本の有名な事件をライターさんがノンフィクション・ノヴェル的に仕上げたものを読んだことがあるんだけど、それはまあ酷かったことをついつい思い出してしまう。ルポルタージュにしても、下手なライターさんが多い気がしてならないんだが…(特に視点移動が酷い)

ま、そんなことはさておき、映画「カポーティ」で演じられていたあの多少ぶっ飛んだキャラクターが、こんな緻密な文章を書くということにまず驚いてしまった。

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映画内でも熱心に事件について取材はしていたものの、こんなに細かく描写するタイプには見えなかったので、やはり人間見た目ではないのだなと妙に感心した次第であります。




犯人達が(寝て)見た夢はともかく捜査官が見た夢とかも描かれていたし、そんなことまで取材したのか? と、その細かすぎるところに恐ろしさまでをも感じてしまうね。ある意味執念だったのだろうなぁ。

それだけ細かく描かれているだけあって、登場人物皆が皆とにかく人間臭い。言うまでもなく犯人達の人となりの描写は一際細かく描かれている。彼らは罪の意識がほとんどないだけに、彼らのことを語ろうと思うと犯行以外のことを多く語ることになるので、本書を読んでいて彼らのことを殺人鬼だとあまり感じられないところが不思議に感じてしまった。


犯人のうち一人の方は多少慈愛の心を持っているみたいなんだけど、完全に割り切った性格でもあり、ある意味機械じみている。気は優しいが反面冷酷。なかなか興味深いキャラクター。カポーティが興味を持ったのもうなずけるところだわ。


映画「カポーティ」では、そんな犯人の一人に取材をするためカポーティは何度も刑務所に面会をしに行っている。次第に彼らはまるで友達のような間柄になるわけなんだけど、そのことについては一切本書では描かれていなかったね、残念。

まあ、自分自身を作品に登場されるのはいかがなものかと思ったのかもしれないけれど、でもこの2人が接触して築き上げた人間関係って、特に犯人にとってはかなり重要だったと思うので、描くべきだったのにと思わざるを得ない。


関係ないけど、日本の小説家でノンフィクション・ノヴェルを書いている人がいるのなら読んでみたいなぁ。事件を参考にした物語っていうのは多いのだろうけどね。


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