愛その他の悪霊について
★2012年7月26日の記事を再掲

精神障害、黒人文化、そういった万人に受け入れられ難いものを全て“悪霊憑き”と見なしてしまっていた、それらの文化・時代の滑稽さを巧みに物語として描いたのが本書、という感じかな。

おまけに、キリスト教が深く浸透している社会ということもあって、悪霊というものを信じやすい環境が整ってしまっているところも、非常にやるせない、何とも救いのない塩梅。

愛の物語なのかもしれないけれど、いわゆる弱者蔑視がかなり酷いので、そういう意味での切なさはかなりのものかもしれないね。南米でも黒人差別はこんなに酷かったんだろうか? 南米と聞くと割かし黒人も多いんじゃないのと思ってしまうのだけど。

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本書の舞台であるコロンビアの人種構成をWikiで見てみると、

人種構成はメスティーソが58%、ヨーロッパ系が20%、ムラートが14%、アフリカ系コロンビア人が4%、サンボ(アフリカ系とインディヘナの混血)が3%、インディヘナが1%である。

コロンビア – Wikipedia


メスティーソというのは白人とインディオのハーフ。それとヨーロッパ系を合わせると全体の8割が白人系らしい。なるほど、この比率なら差別があってもおかしくはないのかもしれない。


時代的なものも大きいのだろうけれど、中世に起きた魔女狩りを彷彿させられて、なんかもうゾクゾクッときてしまう。

宗教の教え自体は悪いとは思わないものの、全ての物事を自分がこれまで培ってきた知識や価値観の中だけで判断してしまうのは、ほんとに危険な事なのだと改めて考えさせられるね。自分の無知を棚に上げて、当てはまるものが無いとくれば「それは悪霊の仕業だ!」という短絡的な思考、いやぁ~恐ろしいです。


それにしても、狂犬病発症後の死亡率が100%だとは知らなかったなぁ。



愛その他の悪霊について
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