戦争における『人殺し』の心理学
★2012年8月2日の記事を再掲

個人的には戦争物の小説や映画等は苦手なのでほとんど観たりすることはないんだけど、エ口スとタナトスは人間のサガだと思うし、特にその心理的な部分は非常に興味があるので本書を読んでみることにしてみた。

正直、戦争という極限状態に置かれた人間なら誰しも人を殺すということに躊躇なんてしないんじゃないか? と、自分が殺されそうになる前にこちらからやるしかないんじゃないか? と、僕は普通にそんなことを思っていたわけだが、実際はそんな単純なものではなかったらしいね。

同類である人間を殺すという戦争においては当たり前のこと、言わば戦争の本質、しかしそこにはやはり強烈な抵抗感が生じていたとのこと。中には、人殺しに溺れてしまう人という希なケースも見られたらしいけれど、大抵は上官等に強く命令されてやっと殺せるか殺せないかという感じだったそうな。

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「天皇陛下バンザーーイ!」という思想教育が成されていた戦時中の日本兵なんかだと、また違ったデータになってくるんだろうか? その辺が多少気にしまう。

やはりそういった思想教育的なものが戦時中にはほんとに必要だったんだろうなと思わせるのが、精神的戦闘犠牲者いわゆるPTSDになってしまう兵士がとにかく多かったという事実からもうかがうことが出来る。

(どんな理由であれ)敵が死ねば自分が殺したように思い、味方が死ねば自分のせいのように思ってしまう。そんな心理的重圧、簡単言えば罪悪感が兵士には付きまとっていたらしい。


条件づけ(洗脳)によって戦場における心理的重圧を克服したとしても、母国に帰還したのちに人々による「人殺し!」などと非難されることによってPTSDになったりする人もいたようで、なんかもう兵士ひとりひとりにとっては1回の戦争によって失うものが多すぎな気がしてならないね。

上記のような話を読んじゃうと、無人兵器オンリーでの戦争という時代がすぐにでもやってきそうな予感がしないこともない。それだったらゲーム感覚なので精神的な負担はあまり無いだろうし。でも、そうなってくると被害を受けるのは無関係な一般市民だけ? なんともやるせない気分になってくる…。


何というか、リアリティのある戦争映画よりも“戦場のリアル”が描かれた本書を読んだ方が何倍もためになりそうだ、そんな気がしました。


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