JOJOmenon
★2012年10月9日の記事を再掲

なんか「ジョジョ本」というよりは「荒木飛呂彦本」という感じで、イラストよりも著者である荒木さんの写真が沢山掲載されている印象。とにかく“荒木さんを存分に堪能しようぜ”という勢いで読むべき本なのかもしれない。

とはいえ、個人的にはあんまり読み応えがなかったというのが素直な感想。大局的に見て、ちょっとサラッとしてたような塩梅。メインは対談だと思うんだけど、意外とこれが分量的に短いんだよね。もう終わり? と思えてしまったし、正直「これは!」と思える話もあまり出てこなかったのが残念でならない。「へ~、そうなんだ」程度かな。

結構濃いものを期待していただけに、少し拍子抜けしてしまったというのはある。事前にあまり期待せずに読み始めるべきだったなぁと後悔してしまうね。それとロングインタビューの内容に関しても「熊野本宮大社のイベント」で語ったらしい内容とかぶってたりするので、そこまで目新しさを感じなかったし何とも言えませんな。

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そんな中、本好きとしては円城塔さんとの対談が一番興味深かったかもしれない。今年の3月頃、円城さんの読書メーターの既読本がジョジョの漫画で埋め尽くされていたことがあったんだけど、この対談のために読んでいたということなんだろうか?


そんな2人が語っていたのは、それぞれが影響を受けた本について。

――今回の対談に際して、おふたりにはそれぞれ影響を受けた本をお持ちいただきました。まずはその本のセレクトした理由から伺っていきたいと思います。

ミザリー (文春文庫)荒木 僕は、スティーヴン・キングの『ミザリー』を持ってきました。ある作家が熱狂的な女性ファンに監禁され、小説を書かされるという話なんですが、そこには極限の狂気を描いたホラーがあり、男と女の歪んだラブストーリーがあり、書かせる人と書く人の不思議な人間関係があって、その3つが合わさってひとつのシンプルな話になっているところがすごいと思います。主人公の作家がどんどん追い詰められていく過程はとても面白いし、ファンの女性の異常なキャラ造型も強烈で、僕が思うサスペンスの完璧な形ですね。『ジョジョ』を描くうえで勉強になるので、今でも読み返しています。

――一方の円城さんは、スティーヴ・エリクソンの『黒い時計の旅』ですか。

黒い時計の旅 (白水uブックス)円城 この本の粗筋はすごく説明しづらいんですよ。簡単にいうと、ヒトラーのためにポルノグラフィーを書かされる男の話です。イギリスのどこか片田舎みたいなところで育って、戦争が始まるとナチスらしい部隊に拉致されて、それまではとくに小説を書いてなかったんだけど、ちょっと書いたものがどうもヒトラーに気に入られているらしいというので監禁されて、ヒトラーのためだけにポルノグラフィーを書かされるというのがひとつの筋になってます。

荒木 何だか『ミザリー』と似てますね(笑)

円城 監禁して書かされるところはたしかに似てますね(笑) 大学生の頃に初めて読んで、そのときは「わからん。いったい何の話なの?」という状態でしたが、最近はだんだんと筋がわかってきたような、こないような。とにかく幻想と現実がいろいろとごった煮になっている話です。まぁ、あまり筋を追いかけるような話ではないです。

荒木 そういうごった煮のストーリーが好きなんですか?

円城 それよりもまず、文章が好きなんですよ。自分自身が小説を書き出すたびにこの本の最初の一文とか二文を読んで、こういう感じでいこうと思うんですけど、実際はまったく違うものになってしまいますね(笑) 元ネタになっていないというか。荒木さんは何か描くうえで元ネタになっているものってありますか?

荒木 もちろん『ミザリー』みたいに恐怖描写の参考にしてるものはあります。ただ、セリフに関していえば、僕の場合、すべてが天然なんですよ。こういうことを喋らせようとか、考えたことがないんです。

円城 その場で出てくるということですか?

荒木 そうですね。自動筆記状態というか、キャラクターが勝手に喋り出す感じです。だから、「あのセリフはどういう意味なんですか?」とか聞かれても、まったく覚えてないことがあります(笑)


僕も両方とも読んだことがあるんだけど、まさか『ミザリー』をラブストーリーとして読んでらっしゃるとは。確かにそういった視点でも改めて読んでみると、何か違ったものが見えてきそうな感じではある。円城さんが『黒い時計の旅』をお手本にしているというのも驚いた。

以下、僕の感想。



それにしても、「冬のナマズみたいにおとなしくさせるんだッ!!」というセリフなんかも自動筆記状態で出てきたというのなら、ほんとに天才ですな、荒木さんは。


それから、もう一人の小説家として、よしもとばななによる短編小説が掲載されていたわけだけど、あれは何なんでしょう、ものすごく微妙だったなぁ。

漫画好き、ジョジョ好きであろう女性が主人公で、過去に住んだことがある杜王町のモデルとなった町に訪れるという物語。そこで自分が経験した恋愛等の出来事と、ジョジョのエピソードを少しばかり重ね合わせるというスタイルで描かれていた。

正直、ジョジョである必要もないような作品内容だったし、ジョジョファンなら尚更読む必要もないかもしれない。ちょっと前に、Twitterで豊崎由美が舞城ジョジョ小説以外のためにもジョジョの漫画を読んでいるという発言をしていたと思うけど、たぶんこのよしもとさんの小説のためだったのだろうね、なるほど。


ま、そんなこんなで、普通程度に面白かったかなという感じです。書き忘れてたけど、山口晃が描いたキャラ(委員長キャラ)とスタンドはなかなか良かった。




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