★2013年1月23日の記事を再掲

イン・ザ・ペニー・アーケード (白水Uブックス―海外小説の誘惑)7編収録さているうち「アウグスト・エッシェンブルク」という中編と、表題作である「イン・ザ・ペニー・アーケード」という短編作品がなかなか良かった(残りの5編はなんともかんとも)

両作品ともに、人々の移り気の早さの残酷さというものを考えさせられるという感じで、けして読後が良いものではない。しかし、文章表現が詩的でかっこよく、余韻の残る作品だったように思う。

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というのも、芸術というものが1つのテーマになっていたりするので、表現がとにかく美しい。だけど、物語自体はひとりの職人の身の破滅のようなものが描かれるということもあって、文章表現ばかりを気に留めてもいられなかったけれど。


それにしても、職人芸、伝統工芸的なものが劣化コピーの量産しやすいものに取って代わってしまうという、その切なさというものは普通に生きているだけでは実感なんて出来ないんだけど、改めて考えるとやるせなく感じてしまうね。

いわゆる物作りの技術よりも安いお色気の方が勝ってしまう現実。やはりきわどいコンテンツはいつの時代でも強いということか…。それは否定できないところではあるんだけど、アーティストがそこに気付いてしまった時の絶望感たるや計り知れないものがある。


アーティスト気質とデザイナー気質というものも考えさせられるよね。自分の能力を商業ベースに乗せたいと思えば、アーティストよりもデザイナーマインドに切り替えていかないことには精神的にはキツいとしか言いようがない。今現在では、職人芸というものを残そうという動きがあるからいいものの、そういう気風のない時代だと職人さんは追い込まれて自分自身をつぶしてしまうのでしょう。

本書を読んで最初に思い浮かんだのが現在の日本の音楽業界のこと。

今のヒットチャートを眺めて、報われないないなと思っているアーティストの人ってたくさんいるのだろうね。バンド活動を地道に行い良い曲を作ったとしても、何番煎じか分からないような曲にあっさり上位を奪われちゃうんだもんなぁ。その影響で音楽を辞めちゃった人も多いんじゃなかろうか。


いやはや、切ない…。






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