★2013年1月28日の記事を再掲

スローターハウス5 (ハヤカワ文庫SF ウ 4-3) (ハヤカワ文庫 SF 302)序盤はまとまりが有るんだか無いんだか雑多な印象だなぁと思ったら、2章からが本編という感じなのだね。

ヴォネガット自身による戦争・捕虜としての経験を軸に、第二次大戦時の悲惨な状況もリアルに描かれていたし、彼独特のユーモアをもちろん含まれていて、本人が言うように反戦小説的にも読める体裁になっている。

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しかし、彼はSF小説家。もちろんそういった要素も盛り込まれていて、時間旅行ができる主人公という設定になっており、戦地での捕虜生活、宇宙人による誘拐というものが対比して描かれているようにも見えた。


それにしても、この時間旅行者である主人公。時間の概念から解き放たれて、過去・現在・未来が同時に認識できるという存在であるらしい。言ってしまえば四次元世界の住人。ある種、人間から上位生命体に進化した感じに思えなくもないところが興味深い。

ま、上のような記述って本編では一切ないわけだけど、なぜ急に進化を果たせたのか? なぜ彼は選ばれたのか? などと色々考えるのも面白いものだ。

ただ、本書の理念としては「全ての時間はただあるのであって、全ての事象はただ起こるのである」という感じになっているので、「なぜ?」と疑問をもつこと自体はナンセンスなのかもしれない。


もしかして、ヴォネガットが捕虜として生活している時に、辛い状況を上記のような想像を漠然としながら乗り越えていたとしたら、なんてことを勝手に想像していたら何とも言えない気持ちになってきました。でも、小説を書き始めるのは数年後なので有り得ないだろうけど。

それにしても、ドレスデン無差別爆撃直後の惨状がまさに焼け野原、本書では「月の表面」と表現されていたけれど、ほんと悲惨な状況だったようですな。捕虜として捕まっている同胞までをも一掃してしまうとか、否が応でも先日起こったアルジェリア人質事件を想起してしまうね。







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