★2013年2月27日の記事を再掲

母なる夜 (白水Uブックス (56))本書はハワード・W・キャンベル・ジュニアという、アメリカ人でありながらナチ党員だった人物の自伝風小説という体裁になっている。

この人物って同じ著者の作品『スローターハウス5』においても少し言及されてたりするんだけど、それを読んだ限りでは完全に裏切り者じゃないかという印象を持っていた。しかし、本書を読むとずいぶんと趣が変わってくるものだ。

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やっぱりこういった特異な経歴を持つ人物の内面というものは非常に興味深い。自身のことを精神分裂と言っているだけあってか、ほんとに掴みどころのない性格をしている。逆にそれこそが個性と言えなくもないんだけどね。

正直な話、『スローターハウス5』を読んだ時は、ヒトラーと同じくこの人物も実在する方なのかなと思っていたんだけど、本書を読んでこれは創作されたものなんだということを知りました。だけど、モデルになった実在の人物っているんだろうか? その辺も気になってしまう。ググってみたもののよく分からなかった。


そんなこんなで、波乱万丈としか言いようがない彼の人生。スパイなんかも絡んでくるので、どんでん返し有りの展開はなかなか読ませるものがある。主人公は劇作家でもあるので、人生にも形式があるという意味では、本書は彼の人生の戯曲とも呼べるものなのかもしれない。


それにしても、義父の絞首刑のシーンがかなり衝撃的であった。なんと生々しいことやら。

ヴォネガットはこういったものを実際に見た事があるのかなぁ? なんてことを思いながら読み進めていたわけだけど、やはりこういった戦争体験をされた作家さんの文章の重みって凄いものがあるね、改めてそう感じてしまう。


関係ないけど、SF要素がないことにちょっと驚いた





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