春の雪―豊饒の海・第一巻
★2013年3月30日の記事を再掲

この「禁断の恋」にここまで引き込まれるとは思わなかったなぁ。

受動的な主人公の相手に対する素直になれない気持ちとか、もどかしい感じが非常に思春期の恋愛模様を上手く描いていて、ほんと何とも言えない気持ちにさせられるものだ。

相手に好意があることを周りに悟られたくない感じとか、それから駆け引き、しまいには“愛憎”という感覚にまで昇華していってしまうほどに逃れられなくなってしまっている。

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「青いなぁまったく」なんて思いつつも、正直大人でも恋愛に関しては似たような感覚を持ち続けているというのは否めないもので、気持ちが分かり過ぎるくらい分かってしまい、すごく感情移入してしまった。


しかし、この上手くいかないと思われた恋がまさかあんな形で結び付けられるとはね。「禁を犯し法を超える」という状況になってからが本番であったようです。

絶対不可能という状態。禁忌を破ってこそ甘美を味わえるという、そんな感覚。それこそが貴族社会における“優雅”なのだというロジックに至る主人公、ある意味で変態チックですな。


でもまあ、拒絶されてこそ恋は燃える、危険な恋にしかのめり込めない、そんな人も中にはいるものだよね。すぐ傍らに絶望が控えていなければアツくなれない。しかし、それは必ず破局が待っているわけで…。

その破局というのも、なかなか胸がいっぱいになるものだ。まさか“尼さん”になってしまうとはね。やはりこれも時代の成せる業なのかと思えてしょうがない。若干、寂聴さんを彷彿としてしまう。


それにしても、雪の日に2人が人力車に乗ったシーンと終盤のシーンがシンクロしていて、美しくも非常に切ない。




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