暁の寺―豊饒の海
★2013年4月20日の記事を再掲

今回は転生者が主人公ではなく、この一連の物語の案内役として登場してきた本多が主人公となっている。

なおかつ、ストーリーよりも彼の心理描写が主に語られているということもあって、前2作と比べても非常に難解に感じる作品であった(あくまで個人的にはだけど)

というのも、全体としてのテーマである輪廻転生についてかなり突っ込んで書かれており、加えて序盤に描かれたタイという国の雰囲気・宗教観などに主人公・本多自身が感応し過ぎているきらいがあって、割と形而上的な描写が多かったような気がしないこともない。

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それから、神話的なことにも色々と言及されていて、とにかく説明臭い部分が多くて頭に入ってきづからかったなぁ。時間的に余裕があってじっくり読んだら楽しいのだろうなと思いはするものの、若干苦痛を覚えながら読み進めたわけで。

まあ全4巻を起承転結で表したとするならば、ちょうど本書は“転”に位置するのだろうし、ほんとに雰囲気自体も変わってきていることを実感させられる作品でもある。


本多も還暦間近で登場して、多少エ○じじい化しているところもその変化を如実に感じさせられる部分かもしれない。大きな富を得て心の余裕があるからなのか? 紳士然としていたというのに印象変わり過ぎだろと言いたくなるものだ。

転生者であるジン・ジャンを魅惑的に感じる様、歳を取ってから初めて恋を知ったような面持ち、それから覗き趣味。ある意味、これまでで一番人間臭い一面が表れていた感じがして、これはこれで良かったかもしれない。


しかし、完全に本多視点ばかりで、なんだかジン・ジャンって結局なんだったの? という思いが強くなってしまうのは否めないんじゃなかろうか。大人になってしまってからは前世の記憶が無くなってしまっていて、ほんと存在意義が感じられなかったなぁ。

それにしても、まさかの蓼科の再登場に驚いた。95歳でも元気そうだったね。




豊饒の海 第三巻 暁の寺 (あかつきのてら) (新潮文庫)
三島 由紀夫
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