火星夜想曲(デソレイション・ロード)
★2013年7月5日の記事を再掲

レイ・ブラッドベリ『火星年代記』のオマージュであり、ガルシア・マルケス『百年の孤独』に影響を受けた作品ということを小耳に挟んだので読んでみることにしてみた(一応両作品ともに読んだことがあるけれど、だいぶ前なので比較等は出来ませんでした、あしからず)

何というか、“火星”と名がつくもののSF要素が比較的少ない感じで、基本群像劇という趣な本書。かたや、ファンタジーというかスーパーナチュラルな要素があったりと、非常に型破りで、思いっきり先入観というものを打ち砕いてくれるから、ある意味清々しい。

火星にも天使がいてそれがメカっぽかったり(アンドロイド?)、その発想は無かったわという感じのものも多々あって中々興味深かった。

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そもそも神だの天使だのという宗教的な理念が火星にあるだけでも驚くところなんだけど、そこはやはり人が増えれば何かにすがって生きていきたいと思う人も出てくるということなのでしょう。それに伴い、聖者に祭り上げられる者までも出てくる始末。

そういった精神的な発展?もあれば、当然ながら物理的な発展も起きてくる。始めは数人しかいなかった小さな町が、わずか4半世紀も経たないうちに都市と呼ぶべき様相を呈していき、気付けば住民達の平穏までをも掻き乱されるに至ってしまった。


物語中盤以降の政治的な要素からのテロリズム、そしてストライキに連なる事件。ここらから一気に物語の雰囲気等が様変わりしたものだよね。これまで全く暴力というワードが入り込む余地なんてない平和そのものという感じだったのに、皆が皆戦いの渦に呑まれていってしまうのを只々読み進めていくほかなかったわけで。

狂気に魅せられた人物が一人でも出てくると、あらゆる均衡が崩れていってしまうということを改めて思い知らされた、そんな気分。最終的には“現実の崩壊”というカオス状態となり全てが解決しちゃうという、なんかもうよく分かりませんでした。


クライマックスの博士と緑の人との対話の部分もよく分からなかったし、大局的に見てSF要素は比較的少ないものの、少ないながらその要素が有る部分がちょっと難解な感じだね。




火星夜想曲 (ハヤカワ文庫SF)
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