戦闘妖精・雪風(改)
★2013年8月16日の記事を再掲

本書に出てくる戦闘機“スーパーシルフ”のパイロットは、非情なまでに冷静な性格が要求されるという。著者本人もそういったものに倣ってか、文体自体も無機質な感じがしてしまってちょっと取っ付きにくかったかもしれない。物語の雰囲気には合っていたけどね。

主人公の深井零も、当然ながら上記のような性格であると設定にはなっているんだけど、色々と葛藤する場面も多々散見されるし、雪風(スーパーシルフ)にこれでもかというくらい執着していて、それなりに人間臭く描かれており中々興味深い人物であった。

一体彼らが何と戦っているのかと言えば、未知の異星体ジャムとのこと。しかし、主人公が葛藤を覚える原因となるのは、だいたいにおいて政治的なことやら機体に関する問題だったりするので、ほとんどジャム自体の脅威というものが伝わり難かった部分が何とも言えません。

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異星体ジャム、あまりにも正体不明過ぎる! ここまで正体不明にしちゃうと、本書を読んでいても段々とそれ自体に感心を無くしちゃうんだよね。普通、未知の異星体とか言われるとドキドキワクワクすると思うんだけど、ほんと見事な存在感の無さ。

もちろん最後の最後にはジャムとはどういったモノなのかが語られて、かなり興味を引き付けられるものがあったものの、もうちょっと早い段階で掘り下げてもらいたかったなぁ、残念。


まあ本書の場合、“人間的&非人間的”というものが大きな主題となっていることもあって、ジャムとか関係なく、戦闘機と人間との関係性を描くだけでも事足りたという感じなのかもしれない。


完全無人化、コンピュータ化というものの怖さみたいなものは、ほんと考えさせられるものがあるね。どんどん機械が知恵を付けていけば、まあいわゆるAIとかが発達していったとしたら、必ず人間に挑戦してくるというのは分かりきったことだもんなぁ。

だって機械だもん。人間よりも自分達の判断の方が劣っているなんて露ほどにも考えないでしょう。それこそ人間の方を異星体のように捉えてしまうかもしれない。いや、人間という存在そのものを感知しなくなる可能性も有り

実際問題、もはや人間を必要としなくなってしまった職種というものも現在でも沢山あると思うし、機械と人間との関係性ってこれからどうなってしまうのか、リアルに心配にもなってくるものだ。




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