★2013年10月6日の記事を再掲

生きるとは、自分の物語をつくること (新潮文庫)臨床心理学者・河合隼雄と作家・小川洋子の対談集。

臨床心理士によるカウンセリングと物語というものが本書のキーになっており、いかに人が物語によって支えられ、いかに物語によって世の中の様々な矛盾に折り合いをつけているかを思い知らせてくれた、そんな感じかもしれない。

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心の病を患っている人の中には、ほとんど言葉を発しない人もいるみたいなんだけど、そういった人の中にもちゃんと物語というものがあって、それを臨床心理士さんがどのように受け止めるのか、そしてそれをどうケアに転化させられるのか、その辺がなかなか興味深いお話でありました。

河合先生曰く「患者さんに訓練されている」とおっしゃっていたけれど、患者さんそれぞれ全く同じケースというものが無いだけに、毎回のカウンセリングが一発勝負みたいな感じだもんね。そこで得られるものも大きいのだろうけど、前のケースを次にそのまま生かすことも出来ないだろうから、いつも勘が頼りになってくるのでしょう。


患者さんが治っていく時には“偶然”がたくさん起こるとも先生は語っている。小説(フィクション)では、都合のいいことばかり起こると納得がいかないと思う人が多いというのに、現実ではそういうことが間々あるというから不思議なものです。

しかし、その偶然も鋭い勘から来るものなのであろうし、その勘だって、あらゆる人間の物語を沢山解析してきたからこそ降りてくるものなのだろうなぁ。それこそ、いかに他人に興味を持つかということも重要なのかもしれない。


それにしても、ほんとはもっと対談が続くはずだったのに、先生が亡くなられたから途中で終わってしまったみたいですね。だからこんな薄い本になってしまっているわけか。ほんとわずか150ページ程度の本だもん、厚み5mmほどの感じが色々な想いの投影に見えてものすごく切なく感じてしまう……。







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