★2013年10月14日の記事を再掲

美しい星 (新潮文庫)非常にユーモアに溢れており、かつメッセージ性の強い作品だったように思う。

自分達は宇宙人なのだと急に目覚めちゃうというところが、なんとも突飛な設定だよね。それでもって、地球は“核”により人類の終末が目に見えていて、それを救うのが主人公・家族の使命なんだとか。一瞬、集団妄想か? と思ってしまうものの、どうやらマジだったようです。

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主人公による「まやかしの平和主義、偽物の経済繁栄」といったような発言から考えるに、彼らって左翼思想からくるもどかしさや苦しみから少しでも解放されたいがために、自分達は宇宙人だという風に客観的な立ち位置に行きたかったのでは? とか考えつつ読み進めたけれど、話が進めば進むほどに読み手の方も彼らが宇宙人などだと実感してくるから不思議なものだ。

僕自身はあまり宇宙人だのUFOなどは信じないタイプなので、どうしたって胡散臭さは多少残ってしまうものの、ストイックに人類のために活動している彼らの姿を見ていると、変に怪しい目を向けるご近所さん達を憎らしく思えてきてしまうものです。


しかしまあ、彼らの場合は真の平和主義だから良いものの、なにやら人類滅亡を望む新たな宇宙人までをも登場してきて話が大変なことに。なおかつ、その人類滅亡の真意というものも人類のためを思ってのことらしいから、非常にややこしいことになっている。

この双方の宇宙人による論戦がとにかく凄かった。目覚めるまでは地球人だったにも関わらず、宇宙人として地球の文化等を客観的に論じており、滑稽であり皮肉がきいていて非常に興味深かったように思う。


やっぱり人類について熱く語られるとなると、否が応でも『カラマーゾフの兄弟』の“大審問官”を彷彿とさせられちゃうよね。そんなことを思っていたら、解説の人もちょっと言及していたみたいです。まあ、カラ兄では地上での支配者なのに対して、本書はある意味で上位生命体や超越者側だったりするので、そういった立場の違いはあるのだろうけど。

でも、どちらにせよ、彼らは非常に感受性が高くて客観的見地というものを崩さないところが凄いとしか言いようがない。我々の世界の指導者達はなんと私利私欲にまみれていることか……。そんなことを考えて若干切ない気分になりました。


それに加えて、本書における双方の宇宙人の思想というものも非常に的を射ており、ほんと人類の存在の根源を問われている気がして、「人間って何なんだろうか……生まれてきてごめんなさい」と思えてくるから大変です。

人間の本質は救いがたいとしか言いようがない。しかし、愛すべきは人間の性質だということも教えられた感じで、ほんと読んで良かったように思います。またそのうち読み返したい。







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