★2013年12月16日の記事を再掲

バイバイ、エンジェル (創元推理文庫)なんだか本格ミステリの体を成しているように見えて、実はそうじゃなかったという印象を持ってしまう。たぶん状況から見て真犯人に辿り着くことには比較的容易な気もするけど、その動機まではほぼ分かり得ないと思うんだけどなぁ。

いきなり秘密結社がどうとかいう話が飛び出してきてみたり、そういった伏線が真犯人の下から出ていたっけ? と思えてならない。まあ、アナーキズム的な話がちょろっと出てきていたものの、それがここまで大きく真犯人と結びついているとは思いも寄らなかったかも。

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おまけに、全面核戦争だとかいうワードまで出て来るなど、ここまでやられると若干陳腐に思えてしまってしょうがない。ある種の革命論の応酬はなかなか面白かっただけに、ちょっと何とも言えません。

本書物語の全体に渡ってアナーキズム、テロリズムなどを語るなどしていたら違和感は無かったのだろうけど、いきなり真犯人がそういうことを語っちゃうんだもんな。なんだか勿体無い気がしてならないや。

主人公・駆のバックボーンなんかも、たぶん上記のようなこととも関係しているよう仄めかされているだけに、説明不足だったのは否めないんじゃなかろうかと(僕が読み飛ばしてしまっているだけの可能性も有るけれど)

まあ、初めからシリーズものにしたいと考えて書かれたという理由もあるのだろうね。謎は謎のまま残し、語るべき時が来たら語るというわけか、非常にもどかしいとしか言いようがない。


それにしても、「あなたが殺したのよ」「追い詰めたのはあなただった」とか言われちゃう主人公もスゴイものだね。でも、本書だけじゃなくミステリ作品全体を考えても、探偵役っていうのはそういう側面が一部あるだけに考えさせられてしまう発言かもしれない。

じわりじわり外堀を埋めていき、逃げ出せない状態にしてから一気に叩き込む。大体こんな感じだもん、探偵役のやり口って(警察も?) そりゃあ、どんどん犯人は追い詰められ精神的にも参っていくことでしょう、中には自死を選ぶ人もいるかもしれない。

そういった側面などを全く考えていない、ただただその探偵の活躍を英雄的に描くミステリも多くあるだけに、“犯人に対する自白の迫り方”って非常に重要なんだなと改めて思い知らされてしまった。


今度からミステリを読む時は上記のような点を意識しながら読んでいきたいと思う。








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