原発ホワイトアウト 若杉冽
★2013年12月21日の記事を再掲

本書を貸してくれるという奇特な方がいたので読んでみた。

現役官僚による告発本の体を成している小説ということで、なかなか考えさせられる事象が多いこと多いこと。様々な各種業界間の癒着というものを主に読まされるわけだから、怒りを覚えるのは当然の事で、最早それを通り越して気持ち悪ささえ感じてしまう。

ドロドロとした暗部を無理矢理覗かされている感覚にもなってくるし、各種メディアすべての報道というものを何も信じられなくなってくるから大変です

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ネットとかでは“嘘を見抜く力が必須”なんてことはよく聞くところではあるけれど、本書で書かれているような巧妙に工作された情報に対しどうやって疑ってかかればいいのやらと思ってしまう。むしろ、逆に全てが疑わしく思えてくるので、真実を真実と捉えられなくなる方が非常に怖ろしい。

なんだか大変なものを読んでしまった、そんな気すらしてくる。読まなければ良かったなぁとも思うけれど、真実を知らずにぬるま湯にずっと浸かっているよりかはマシだったのかもしれない、たぶん。


しかしまあ、電力業界と政治ってほんとずぶずぶの関係なのですね。半分は知っていたけれど、献金だけではなく次の選挙のことまで見越して落選議員に対してもお金で取り込んでおくとは。

一代で議員になった人ほどお金の心配をしているから付け入りやすいらしく、選挙区の地盤が固い2世・3世議員達の方が発言の信用度が高いとか、正直あれだけマスコミが世襲議員バッシングとかしていたのはなんだったのかと思ってしまう。まあ、マスコミもお金で牛耳られていたのかと考えたら納得出来るけれど。

ほんと世の中のほとんどの事がお金中心で回っているのだなぁと改めて感じさせられて眩暈がしてしまう。善人がバカを見るという不条理な事が現実にたくさん起こっているという事実に驚愕。なんだか溜め息しか出ませんわ……。


あと官僚も官僚で、政治家に対する見下しっぷりが凄いことになっているし、とにかく自分達主導で事を起こしたいという気持ちが滲み出ている感じですな。実際問題、政治家よりも官僚の方が能力が高い人が多いと思うので、こういった構図はどうしたって変わらないのかも。

当然ながら、官僚の中にも真摯に国民のことを思って仕事をされている方も多いのだろうけど、各省庁の思惑に反発しちゃうと元経産官僚の古賀茂明さんみたいなことになっちゃうから、なかなか大それたことも出来ないのでしょう。

国の政治は、その国民の民度を越えられない。


などと本書では言及されているんだけど、嫌な言葉ではあるものの、現実そうなのかもしれない。


それにしても、クライマックスで新たな原発事故が起こってしまうわけだけど、その事故の原因は人為的ミスにしてた方がリアリティがあったんじゃないかなぁ? ちょっとそう思ってしまった。

人為的は人為的でもテロリストによる襲撃が原因だなんて……。ま、有り得なくはないけれど。



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