サマー・アポカリプス 笠井潔
★2014年1月4日の記事を再掲

前作『バイバイ、エンジェル』とは打って変わって、割と主題がハッキリしている感じで、物語に深みが有りなかなか面白かった。

キリスト教・異端カタリ派に始まり、ナチのオカルティズム、それから秘密結社などなど、ガジェット的にワクワクさせられる要素が多かったように思う。中世ヨーロッパの歴史というものもキーになっていたことだし、薀蓄好きな方にはたまらない感じかもしれない。

ミステリ的には“見立て殺人”が行われるので、まあ王道とも言えるのでしょう。なんやかんやで色々と伏線も張られており、ずいぶんと前作から作品の完成度が高まったように感じるものだね。

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あと、今回多少ではあるんだけど、主人公・カケルのバックボーンが語られていて、その辺もなかなか興味深かった。本作だけではなくシリーズ全体の黒幕になるであろう人物についても初めて言及されるなど、アツい展開も多かったように思う。


その黒幕というのが「悪霊ニコライ」と呼ばれているらしいんだけど、このネーミング的にはやはり本作ってドストエフスキーに結構影響を受けているっぽいですな、薄々は感じていたけれど。

「悪霊ニコライ」=「『悪霊』のニコライ・スタヴローギン」ってことなんだろうなぁ。正直、性格的には主人公・カケルもちょっとスタヴローギンっぽく感じなくもないので、自身と似たようなタイプの黒幕ということになるのかもしれない。




あと、主人公・カケルが劇中に「他人の不幸が隙間なく自分の心を占めつくす時、神への愛は不可能になる」と語っていたりするんだけど、こちらは『カラマーゾフの兄弟』のイワンの思想と酷似してるとしか言いようがないね。

スタヴローギン+イワンな主人公というのも、なかなか他の小説では読めない気がするので、非常に続きが気になってしまう。




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