★2014年2月7日の記事を再掲
震災後とはいえ「原発推進政策」をあえて促進させているカリスマ総理、というのが本書のキーマン。高い支持率をほこり“独裁者”とも揶揄されるなど、ちょっと現在の安倍総理を彷彿とさせられてなかなか興味深かった。
劇中にこのカリスマ総理は「あの男はヒトラーになる可能性がある」などと政治記者からも言われており、そういった所などもびっくりするくらい重なる部分が多いものだ。
しかも、本書が発表されたのが震災から4ヵ月後とのことなので、なんと時代を先取りしていることやらと思えてならない。ある種の預言書のようにも読めて面白いやら怖ろしいやらという感じでした。
書かれた時期的に考えて安倍総理をモデルにしているわけじゃないのは明らかだと思うんだけど、このシンクロニシティはどういうことなんだ? と、ついつい考えてしまう(もしやモデルはオバマさん?)
「その支持率の高さから、党幹部は誰も総理の暴走を止められない」などという話はよく聞くことで、そういった部分に胡坐をかいてしまうというのは、権力を持ってしまった人間が必ず陥る病という感じなんだろうか? そんな気がしてならない。
本書では、そんなカリスマ総理を取り巻く総理秘書官や、政治の闇というものを追いかける新聞記者の視点なども描かれていて、なかなか表舞台に上がることのない人間の駆け引きなども読み応えがあった。
ただ、初めは原発問題が物語の主だったというのに、気付いたら賄賂問題に重きがおかれていて何とも言えなかったなぁ。その賄賂というのが、アフリカの小国によるクーデターに日本政府が資金援助していたという話なもんだから、ちょっとファンタジー過ぎないか? と思わずにはいられない。
いくら利権獲得のためとはいえ、その辺の節度は今の日本政府にもあるでしょう。でも、行き着く先にはそういうことも有り得るということなのかも。
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真山 仁
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