これはペンです 円城塔
★2014年3月31日の記事を再掲

本書が芥川賞候補になった時に、村上龍による選評をめぐってのいざこざが起こるなど一部で話題になった作品ということもあり、以前から興味があったので読んでみた。

正直、上記の点について意識を置きつつ読もうと思っていたんだけど、“擬似論文生成プログラム”であるとか“ゴーストライター”の話などが出てきたので、一気に小保方晴子さんの捏造疑惑に関する事をどうしたって想起させられて仕方なかったわけで。

「切り貼りした論文が査読を通過」であったり「当たり前すぎることなのだが、適当に切り貼りした論文などは、真っ当な雑誌には掲載されない」とか本書でも言及されてたりするし、ネイチャー大丈夫か!? と本気に心配になってくるものだ。

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ほんと読んでいて、なんとタイムリーな話なんだと思えてしょうがなく、著者である円城さんが意図しないであろう形で読むことになってしまい、ちょっと申し訳ない気がしないこともないです。

厄介なのは、自分が切り貼りをしていると承知しながら、全く別の内容を書こうとする輩が一定の割合ででてくるからだ。そもそも文章なるものは切り貼りなのだ。活字の発見はそのまま切り貼りの発見だから。いちいちの文字を記すのに、その箇所にしか使用できない特別な活字が必要ならば、活字なるものが存在できない。であるならば、繰り返し用いられる文字も、繰り返し用いられるフレーズも同じものではないかという極論が生まれたりする。こうして、同じフレーズの組み合わせを用いて、新たな内容を記すことができるのだと誇る奴が出現する。


小保方さん自身は「論文のコピペが悪いことだと知らなかった」という旨の発言をされているようだけど、その心は上に引用したようなことなのだろうなと想像に難くないです。

言ってしまえば、“全ての言葉は先人の受け売り”ということになるのは当たり前なんだけど、だからといって一言一句コピペしちゃうことが駄目なのは言うまでもないことだとは思う。


それにしても、本書に登場する叔父さんと姪の奇妙で面白い関係性って、なかなか興味深いものがあるね。

科学者の中には、色々と変わった人も少なからずいるのだろうけど、そういったある種の子供心をいつまでも発揮し続けていけるのだって、周りがちゃんと相手にしてくれているからなのだろうなと思わなくもない。

「バカじゃないの!?」と一笑に付されたら、そこで終わっちゃうものも多いと思うんだよね、あらゆる事象は。そうはせずに、周りも一緒に面白がって付き合うからこそ、何かしら新しいものが生み出されていくのかもしれない。



これはペンです (新潮文庫)
円城 塔
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