人間の土地
★2014年4月30日の記事を再掲

ジブリの宮崎駿さんが表紙イラストと解説を書いているということで、『紅の豚』あたりと想起しつつ読み進める。

何というか、1920年代当時の飛行技術がどの程度のものだったのか詳しく知らないものの、ここまで死と隣り合わせだったのかと、ちょっと驚くほかなかった。

あくまでもサン=テグジュペリによる素人パイロット時代の心情なのかもしれないけれど、戦争ならまだしも“郵便飛行”で死にたくはないと思わずにはいらない。


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まだパイロット自らが航空路を開発していかないといけないご時勢だったらしく、とにかく危険が伴うこと必至。不時着してしまうことなんて当たり前のような感じだったみたいですな。


“大自然の驚異”というものをつくづく感じさせられると同時に、文明の利器を手に入れたところで人間というものはちっぽけな存在なのだと改めて思い知らされる気分かもしれない。

無事に着陸出来たとしても、その土地々々の未開人をはじめとする略奪集団からの襲撃にも気をつけないといけなかったようで、ほんと今の時代に生きていて良かったと思ってしまうものだ。


それにしても、このサン=テグジュペリという人は割にエリート意識が強い人だったみたいで、ちょっと意外な気持ちがしないこともないです。小説の冒頭あたりで、町を歩いている普通の一般人のことを“野蛮人”とか言っちゃってるし、少々萎えてしまう……。

「自分達パイロットの苦悩を彼らが分かるはずもない!」的なことをつい考えてしまうのは理解できなくもないけれど、だからといって郵便飛行のお客さんでもある一般人を蔑むようなことを言っては駄目でしょう。


上記のようなことを言っておきつつ、以下のような発言もしてたりするんだよね。

戦争を拒まない一人に、戦争の災害を思い知らせたかったら、彼を野蛮人扱いしてはいけない。彼を批判するに先立って、まず彼を理解しようと試みるべきだ。


ちょっとブーメラン的な発言なんじゃなかろうかと。


ま、そんなこんなで、小説の中盤以降に「人間」や「反戦」をテーマに語るなど、割と名言も多かったと思うんだけど、個人的には上記のようなこともあってどうにも説得力というものを感じられませんでした、残念。



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