★2011年1月16日の記事を再掲

NHK・BSの「週刊ブックレビュー」に太田光が出演すると聞いたので、録画して観てみました。

初の小説「マボロシの鳥」が刊行されたことだし、つい最近本番組に劇団ひとりも出演してたので、もしかしたら太田さんもそのうち出るんじゃないかと思ってたんだけど、やはり呼ばれたようです。

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とまあ、そんな太田さんの発言をほぼ全て書き起こしてみたいと思う。ただ、聞き取りにくかった場合とか抜けがあるかもしれないので、その辺はあしからず。

ちなみに、今回の司会は中江有里・滑川和男アナでした。


週刊ブックレビュー

中江 太田さん、どうぞ。

太田 プシュー!(おなじみの目からレーザーを出す的なジェスチャー)

中江 ようこそいらっしゃいました(笑)

太田 場違いな感じで。

滑川 いえいえ。

太田 この番組ね、緊張するんだよね。

中江 緊張されますか?

太田 前に1回だけ、あの合評……。

中江 書評ゲストで。

太田 うん、出た時シーンとしてたね。

中江・滑川 (笑)

太田 金美齢のババアがね。

中江 そんな(笑)

太田 ちょっと怖い顔してこっち睨んでたりして緊張した思い出があります。

中江 今日はまあ思う存分喋っていただきたいと思います。

太田 この番組に出るのが夢でしたから、僕は。

中江 あ、そうですかぁ。

太田 自分の本、本でね。

中江 自分の本で、そうですね。改めてご紹介いたします。爆笑問題の太田光さんです。

太田 あ、どうもよろしくお願いします。

中江・滑川 ようこそお越し下さいました。

中江 私も以前太田さんと……。

太田 ねぇ、あの~ラジオに来てもらって児玉清の悪口言って盛り上がっちゃって、ねぇ?

中江 そんなこと言ってません(笑) いやでも、ほんとにブックレビューをよくご覧になっていただいて。

太田 僕はねぇ、大好きな、まあ本の番組って少ないでしょ? ほぼこれしかないぐらいの感じで。だからずーっと毎週観てたんですけど。



◆「マボロシの鳥」について

中江 読書家としても大変有名なんですけど、ついに小説を書かれたということでかなり反応あると思うんですけど、いかがですか?

太田 ありましたねぇ、色々賛否両論。だからそれ全部、あの~普段やってることで批判されたりすると頭にきたりするんだけど、こういう経験はちょっと珍しいなと思う。賛否両論あってどっちもボロクソ言ってんの、もう。それはそれなりにね、嬉しいんですよね。

中江 ま、そういう風に言うってことは読んで言うんですもんね。

太田 読んでるってことだからね。印税が入るってことですから、それはとても嬉しいですね。

中江 (笑)

滑川 でも、ほんとに毎日お忙しいと思うんですが、9つの作品をどのくらいの時間をかけて書き上げたってところなんですが。

太田 これはねぇ、あの~なんだかんだサボりサボりで、1個書いちゃちょっと間を空けたりなんかしてたもんですから1年半から2年ぐらいかかっちゃったかな。こんな程度のあれなんですけど。

滑川 は~、そのくらい。

太田 うん。

滑川 (急にアナウンサー口調で)はい、それでは、え~この「マボロシの鳥」について……。

太田 それではっ!

滑川 ははは、邪魔しないで下さい(笑)

太田 すみません、邪魔しちゃってごめんなさい。

滑川 それでは、ここで「マボロシの鳥」について短くご紹介しましょう。



ここで作品紹介ビデオが流れる。

かつて読んだことのない感動の形がここにある。爆笑問題・太田光、待望の処女小説!

「どこかの誰かが、この鳥を必要としている」――誰よりも小説を愛し、誰よりも小説に愛される芸人、太田光がついに作家デビュー!
 
舞台芸人の一瞬の輝きを一羽の鳥に託した表題作ほか、
父との不和に悩む娘やイジメにあう男子高校生の葛藤から、
人類の行く末、そして神の意志までを、
持てる芸のすべてを注いで描き尽くした《希望の書》。



◆小説を書くということについて

中江 ほんとに、私は発売してすぐ読んだんです。

太田 ありがとうございます。中江さんに読んでもらうために書いたようなもんです。

中江 何をおっしゃるんですか(笑) でもあの真剣にほんとにあの~、やっぱり本ってその新刊もあれば昔の本もありますけど、この書かれてやっぱり新刊として読めたのはすごく嬉しかったですね。

太田 ああそうですかぁ。

中江 はい、あの~作品全体的な印象で言うとあまり時代性っていうのは選ばないかもしれないですけれども、やっぱり今読むべきなんじゃないかなというテーマがかなりあるという風に私は感じました。あの~太田さんは、まあ読書家としても大変有名なんですけど、小説を書くっていうことについてはずっと考えてらっしゃったんですか?

太田 もう、あの~ずっと考えてたというか、子供の頃から物語を読むのが好きで、いつかその自分もこんな風に書ければなぁっていう、う~ん、なんだろう、「トム・ソーヤの冒険」とか、ああいう「宝島」とかね。ああいうのを読んでワクワクして読んで、あ~こんな風に自分も書けたら楽しいだろうなっていう想いはず~っとあって、ただその過程で色々浮気して、こう漫才やったり、なんかねぇコントやったり色々テレビやったりしてて、なかなかそれがこう本腰入れて「じゃあ小説書く!」っていうとこまで踏ん切りがつかなかったところがあったんですけど、ま~あの劇団ひとりだとかねぇ、あの~品川だとか、ああいう板倉っていう若手の、言ってみれば僕らの後輩がガンガンその~書いてね、良い作品を皆書くんですから、あいつらより俺の方が面白いの書けるだろうというね、想いがあって、実際そうだったんですけど。

中江・滑川 (笑)

太田 で、だから負けてらんないなって、ケツを叩かれたようなところがありますね、ちょっとね。ただ、これ書き始めた時に、あの~中江さんも言ってくれたように、今の、あの~今読むべきって言ってくれたのはほんと嬉しいんですけど、あの~テロであるとか、その~少年犯罪であるとか、沖縄の事であるとか、あの~自分の中で漫才を作る時の作り方とちょっと似てて、ニュースを探っていきながらこれをネタにしていくっていうのが、それをまあ小説でも同じようにやりゃあいいかっていうのが割と書き始めたきっかけですかね。



◆太田光という名のイメージ

中江 9つの短編ですけど、それぞれちょっと1つづつ少し言うと、その「タイムカプセル」という作品では沖縄の歴史についてですとか、あと「奇跡の雪」では自爆テロの問題であるとか、ま、そういったこと現代に繋がっている問題ですよね。そういう時事的なものを物語にするっていうことの難しさっていうのもあると思うんですけれども。

太田 それはねぇ、僕らが漫才をやってるのがやっぱりその形式で全部やってるんですよね、時事ネタを。だから、あの~僕にとっては割といつもの作業に近かった。で、それをこう口からでまかせでこんな人がいてっていう適当な空想に飛ばしてっていう、でーそれがなんて言うのかな、自分の本として自分で言うのもなんですけど、あんまりその具体的な今の問題をここまで真正面にやってる小説ってそれほど日本の文学で少ないだろうから。

中江 確かにそうですねぇ。

太田 う~ん、だからそこは自分の中では、自分の希少価値としては思ってますけどね。

中江 やっぱり太田さんっていうのをテレビなんかでご覧になってる視聴者の方々は、なんかそのどっかこう曲げるじゃないかっていうところをすごくストレートで、照れがないなっていうところに胸を打たれる人もいるし、なんか肩透かしみたいなものを感じる方もいると思います。

太田 あのねぇ、それはほんとに僕は一つ意外だったのは結構曲げたつもりなんですよ、自分としては変化球のつもりなんですよ。つまり、例えば政治番組なんかで「沖縄で基地は追い出した方が良いじゃない」みたいなことをストレートな言葉で言ってきてるもんだから、一個物語にした時点で自分としてはずいぶん変化球にしたつもりなんだけど、やっぱり読者の反応っていうのは「太田がウルサイ!」っつうのが多いのね。太田がとにかくストレートで前に出過ぎてて物語に没頭できないっていうのがすごく多くて、僕は意外だったの、それは。だから、自分としてはだからどこまでいってもそういうストレートしか出来ないのかなぁっていうのがある。

中江 やっぱりこう体言するっていうことを、その、書くっていう言葉の上では、たぶん太田さんが思っていらっしゃる以上にご自身が出てしまう……。

太田 出ちゃうんですよね。だから、それはねぇ、ちょっと悩んだんですよ、正直。あの、その反応を見てね。で、水嶋ヒロみたいに名前隠してね、あの~やれば良かったかなとも思ったんだけど、まあ結局それでもあれなんて斎藤ナントカっつったって水嶋ヒロになっちゃうわけじゃない。だから、その名前から逃れらんないから。

中江 逃れられないですよね。

太田 うん、だからまあ、良いのかなっていうか、むしろそういう太田光っていうイメージがついた名前を持ってること自体は幸福なことだしね。だから、そういうラベルがタレント本だっていうことで思ってもらって、それはそれでまあいっかっていうところに今のところ納得してるんですけどね。

中江 でもほんとに、やっぱりこの本を手に取られた方は太田さんの本だっていうことで手に取られる方はすごく多いと思います。で、やはりその読む時に太田さんっていうフィルター、必ず顔が浮かんでくると思いますよね。

太田 ほんとはだから名前を酒井法子にして出そうかと思ったんですけど、ちょっとそれは出版社からやめてくれって言われました。

中江・滑川 (愛想笑)

中江 でも、あの逆に私は「マボロシの鳥」表題作なんかは、太田さんだからこそこの作品なのかなっていう風に思いました。

太田 僕らしいところはそうかもしれないですね。

中江 やっぱりこの、私なんかはこの芸人がその落ちぶれて、あの~場末のバーで飲んでるところで声をかけられますよね。あそこのシーンはすごく……。

太田 良いよねーー!! これ泣いちゃうんだよ。

中江 ご自身で書かれて泣かれましたか?

太田 ええ。

中江 やっぱりその~舞台に立つことがね、お客さんを喜ばせることではなくて自分が幸せになることなんだっていうところなんかは非常にその~強いものを感じましたし、やっぱりたぶんそれはどんなことをやってても同じだと思うんですよね。あの~表現する側だけではなくて、生きてるってことは自分が幸せになることなんだっていうところにすごく通じてるかなぁという風に思いました。

太田 それは嬉しいですねぇ。だから、そういうのはたぶん、だから、ま、どこ行っても結局何やっても「太田は理想論ばっかり語りやがって青臭い」って言われるんだけど、あの、逆にひねくれ、俺結構ひねくれてるっていうイメージがあると思うんだけど、意外とそういうの出来ないんですよね。だから、文章でもかなりこう、あの~こう、なんつうの、内に秘めたり、なんか色々隠したりとかしたつもりなんだけど、結局素っ裸みたいなことになっちゃって、だからそれはもう自分の性質だからしょうがないかなぁと思ってるんですよね。

中江 なんか好きなものをこう放りこんだっていう感じがしたんですけど……。

太田 ほとんどパクリですから。

滑川 (笑)

中江 この「冬の人形」なんていうのは、向田さんをやっぱり。

田 向田さんがボツにした原稿をそのままもらって。

中江 何をおっしゃるんですか、そういうところがひねくれてるんですよ(笑)

太田 でも、楽しんでその向田邦子になったつもりで、ちょっとやってみようかなとかっていうのはそれぞれでありましたね。



◆長編小説&村上春樹について

中江 ただ、その~9つの作品全部こう違うテイスト……。

滑川 全然違いますよね。色んなタッチの中からいずれその長編の方にシフトしていくような手応えみたいなものも……。

太田 あのねぇ、だから、僕はこれ別に短編集にしようと思って書き始めたわけでもなくて、あの~膨らめば別に長編でもいいかなと思ってたんだけど、結局書くこと無くなっちゃうんだよね。2、30ページで。だから、また次のっていう。だから、もしその長編にしなきゃないけないくらい自分の中になんか書くストーリーがあれば長編を書くだろうし。ただひとつには、あの~何度も言うと怒られちゃうんだけど、村上春樹っていう人がいて、僕はね、あの人の小説全部読んでるんですよ。で~売れるでしょ? で~まあ悔しくてしょうがないわけ。で~中には好きな小説もあるんですよ、ほとんどは嫌いですけど。だけど、あの~「1Q84」があの長さでね、3冊出して100万部それぞれ売れて「なんだよ!」って思ったわけ。あの内容をあんだけ薄くしてウダウダやるんだったら、俺だったらこの3冊20ページで書いてやるっていうつもりはあったんだよね。そしたら「詰め込みすぎだ!」つって、ほとんどの読者が……はははは(笑) 「うるさい!太田」っていう反応になって、あ、そういうことかって、やっぱり村上さんすごいんだなっていうね、そういうところに落ち着きました。

中江・滑川 (笑)



◆物語の力、可能性

中江 あの~やっぱり私この本を読んでて、その~太田さんは他にご本をたくさん書かれていますけれども、やっぱり小説を書いたっていうところですよね。で、先ほどその幼い頃から物語っていうものに夢中だったっていうのも、物語の力っていうものをやっぱり感じましたねぇ。あの~、ま、事実っていうのはね、その~小説よりはなんか奇なりって言いますけれども、でもやっぱり物語にしか出来ないことって絶対あるっていう、そこを非常に信じているんだなぁっていう風に感じました。

太田 あ~だからそれは僕はかなり本に、中江さんもそうだと思いますけど、う゛~ってなってる時とか、あの~本にずいぶん救われた経験が多いので、今もそうですけど、だから、その~友達ができなくて一人ぼっちでいる時なんかは本の世界に逃げ込んで、その世界を空想してるんだけで、ねぇ、その時間救われるみたいなことがあって。で~やっぱりそこだけは誰にも邪魔できないじゃないですか。この頭の中で空想することは、いくらあの~例えばなんだろう、日本が独裁国家になって全部放送もね、こういう放送も全部規制されて、で~喋ることも何もかもこう、それこそ戦前の日本みたいになったとしても、布団の中に入って頭の中で考えることだけは絶対誰も邪魔できないから。全部締め付けられるとしても、そこは誰にもどんな指導者にも邪魔できないところだし、そこは唯一の逃げ場だよね。だから、これは物語のその人を救う可能性っていうのはあると僕も思ってますね。

中江 今なかなかこう「物語っていうのは嘘じゃないか」って受け入れられないようなところもあると思うんですけれども、太田さんは……。

太田 やっぱり全部嘘っぱちで、この芸能界っつなぁそういうところで、あの、作っていくもんじゃないですか。例えばドキュメンタリー、ね、あの~凄さってあるし、その迫力ね、で、本なんかでもやっぱりね、ルポルタージュなんか読むとこれには適わないなって思うけど、俺らはやっぱりバラエティタレントだからどうしたってそっちに勝たなきゃ、あの~面白くないし、こっちの職業っていうのが出る側の皆を楽しませる、あの~プライドっていうのはねやっぱり、ず~っとありますね。だから、事実よりも物語の方が上回んなきゃ俺たちのいる場所はないっていう気持ちはずっとあるから、その意地みたいなもんが、ま、多少あんのかもしれないですね。

中江 これ(マボロシの鳥)をお出しになって、大変あの~売れ行き好調なんですけど、次回作っていうのは。

太田 今回ね、直木賞までいただきましてほんとに、あ、取ってねぇわ。

中江 あ、はい(苦笑)

太田 次回作もやろうと思っています。

中江 構想も?

太田 構想も多少練ってますけどね、はい。

中江 いや、これはぜひ楽しみにしております。

太田 打倒「KAGEROU」ということで。

中江 はい、わかりました(笑) どうも本日は太田さん、ありがとうございました。

滑川 ありがとうございました。

太田 どうも。



いやぁ~なかなか濃いお話でした。比較するのもあれだけど、去年放送された綿矢りさがゲストで来た時と比べても、なんかもう喋ってる量が2倍はあったような気がしてならない。それだけ書き起こすのも大変だったわけで…。

太田さんはまあ芸人だから喋るのは当たり前なんだけど、今回の中江有里さんはほんとよく喋ってたなぁというのが印象的だった。しかも、それがまた結構良いこと言ってるんだよね。初めは太田さんの発言だけ書き起こしてあとは適当に書いておこうと思ったんだけど、中江さんの発言もちゃんと再現しないと話がなりたたないと気付かされたので全て書きました。

それにしても、太田さんが村上春樹に対してちょっとだけ認めるような発言をしていたのが気になったなぁ。やっぱり自身も小説を書いてみて、その大変さが少し分かったということなんだろうね。いや、もしかしてNHKということもあり「批判だけじゃなく少しフォローもしとくか」ということだったのかも。まあ、どちらでも良いか。








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