★2012年3月25日の記事を再掲

最近、西村賢太って色んなところに出演してるなぁなんて思いつつ録画して鑑賞。

人物紹介で、「現在は作家活動以外にも、テレビ出演など幅広い活躍をみせている」とかなんとか言われていたけれど、今そんな扱いになってるの? 本格的にタレント活動を始めちゃってます?

などと驚きはしたものの、彼の発する言葉とキャラクターはなかなか興味深いものがあるのは確かだよな、と今回番組を観て納得してしまった。

【スポンサードリンク】


で、そんな西村賢太が紹介していた本は以下の3冊。

1.藤澤清造『根津権現裏』
2.大薮春彦『復讐の弾道』
3.北条民雄『いのちの初夜』



1. 藤澤清造『根津権現裏』

根津権現裏 (新潮文庫)
藤澤 清造
新潮社 (2011-06-26)
売り上げランキング: 7685

小林 この作品の中で特に印象に残った部分とはどんなところでしょうか?

西村 主人公がお金がなく夜の街を彷徨いながら、「いつまでこんな生活を続けなければならないのだろう」という独り言をつぶやくわけですが、これが丁度その時(29歳の時、喧嘩沙汰で留置所に入っていた頃)の僕の気持ちとフィットしたっていうんですかね。
僕も丁度その時同じようなことを考えて、こんな生活をいつまでもいつまでも続けなきゃどうしようもないんだろうと諦めの中にいた時期だったので非常に心に刺さりました。


精神的に辛い時に重いものをよく読めたよなと感心してしまう。


続いて、私小説の定義と西村賢太の執筆スタイルについて。

小林 私小説の定義っていうのはどうなんでしょうか?

西村 私小説でもあくまでも中に小説という言葉が入るようにどこまでも小説なので、ノンフィクションとか自叙伝とかとは全く違うわけですよね。

小林 (現実の部分を)どのくらい入れるんですか?

西村 あの~その時によってだいぶ割合は変えますね。結構本当ばっかりの事で一本まとめることもあれば、2割くらい本当の事ベースとして、8割くらい嘘を捏造して膨らましたりとか。そういうことはしょっちゅうです。

小林 そうなんですか!? 小説ですもんねぇ。OKですもんねぇ。自伝だとちょっと困るけれども。

西村 そうそう。自伝だったらもうそんなの自伝とは成立しないですよね。

苦役列車小林 『苦役列車』の場合はどうだったんですか?

西村 あれは19の時の生活をベースにして、それぞれにモデルの人物がいるんですけども、そのモデルは何人も寄せ集めてるんですよ。て言うのはあの、直接一人の人間をそのまんまモデルにして使っちゃうと訴えられてしまうので、もうあえて何人かを混ぜて、だから限定されないように仮に「これが俺のことだろう、私のことだろう」って言われても全然違うでしょうと言えるくらいの人物造詣を1回崩してもう1回組み立てて、それで出してます。だから案の定苦情は来てません。

小林 私小説を書く時に大切にされていることっていうのは、どんなことが他にありますか?

西村 自分の本当のことを書く部分は極力格好つけずに、出来るだけそのまんまの感情っていうんですかね。その時の感情を思い出して、言いたくないところをあえてそのまま出すと。まあ、一種の精神的な露出狂なんでしょうね。肉体的ではないです(笑)

小林 それは困ります(笑)


本当と嘘の割合が2:8とかだったら、普通にエンタメとか書いてる人なんかもそんな割合なような気もするけどなぁ。ある意味、私小説も何でも有りなんだなぁとしみじみ感じてしまった。



2. 大薮春彦『復讐の弾道』

復讐の弾道 (光文社文庫)
大薮 春彦
光文社
売り上げランキング: 68139

西村 子供でも読めるっていうんですかね。非常にこう普遍的な怒りとかそういうものを書いているので、割と小学生でも理解出来ると思いますし、変に熱いものも感じますしね。そこがこの人の魅力ですよね。誰でも分かる文章を書くというのは一番簡単そうで難しいことなので。


子供も大人も楽しめる小説って意外と少ないと思うので、なかなか興味深いね。でも、濃厚な○○○があるって言ってたようなw



3. 北条民雄『いのちの初夜』

いのちの初夜 (角川文庫)
北条 民雄
角川書店
売り上げランキング: 9112

西村 まあでも、すごい打ちのめされましたね。こんな人がいたんだなあと。いまだにこの北条民雄のこれは年に何回か読み返して初心を思い出すために読んでますね。


この著者の名前はちらほらと聞いたことはあったんだけど、打ちのめされる感じなのだね。

小林 この本は西村さんにとって心の支えのような存在だと思うんですけども、どんな人に読んで欲しいと思いますか?

西村 やっぱり若い人ですよね。若くて、しかもなんかこう僕みたいな投げやりなやつに読んでもらいたいですね。例えば、ミュージシャン目指してるとか、役者目指してるとか、でも30までに何にもならなかったら止めようとか、そういう甘えた若者に読んでもらえれば、こういう病気(ハンセン病)をもって途中で亡くなっちゃった人がここまで一生懸命やってるんだってことで、何か一つ目が覚めるところがあるんじゃないかなあと。またその目を覚まさせるものがありますよ、この小説には。まあ自分のことばっかり言うのもあれですけど、現に僕はこれで目が覚めましたからね。


西村さんて巷ではダメ人間だと言われることもしばしばだけれど、この話を聞いたら全然そんなことないじゃんと思わざるを得なかった。危機感を持ち、そこからちゃんと行動を起こせる人なんだもんな、彼は。なんかほんとイメージが変わった気がするね。この小説もぜひぜひ読んでみたい。



いやぁ、なかなか良い対談でありました。まさに西村賢太の人生に多大な影響を与えた本という3冊だったように思う。

あと、夏に公開予定の映画『苦役列車』についての話もちょろっとされていた。西村さん的に、ヒロインはAKB48の前田敦子ではなく柏木由紀にやってもらいたかったそうですw

人もいない春 (角川文庫)
西村 賢太
角川書店(角川グループパブリッシング) (2012-01-25)
売り上げランキング: 7193






Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

« »

Post Navigation