★2013年5月7日の記事を再掲

先日放送されたものを録画していたので観てみた。

いわゆる「学べるニュース」とかみたいに、政治的なものを目当てで観てみようと思っていたんだけど(森喜朗元首相も出演)、まさか阿川佐和子さんがゲストで登場するとは思わなかったなぁ。個人的に対談モノでは彼女が一番インタビュアーとして面白いと思っているので、ちょっと嬉しい誤算。

ま、今回の番組は池上さんがこれまでのような伝える側ではなく、質問をして答えを引き出す側というスタンスらしいので、両者ともに逆の立場で相見えるというなかなか興味深い対談でありました。

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お二人はこれまでに何度も会ったことがあるらしいんだけど、なぜか今回ものすごくピリピリ・ギスギスしていたんだよね。その辺も観ているこちらとしては非常に面白かった。

そんなこんなで、彼らの対談(バトル)を書き起こしてみたいと思います。聞き取りづらかった部分は適当なのであしからず。



★阿川佐和子さんの年齢

羽鳥アナ さあでは池上君に問題です。阿川佐和子さん、非常にお美しい方ですが、今おいくつでいらっしゃいますでしょうか?

池上 そりゃあもちろん38歳に決まってるじゃないですか。

羽鳥アナ なるほど、私からは言えません。ご本人に教えていただきたいと思います。ご登場いただきましょう、阿川佐和子さんです。よろしくお願い致します。

(阿川さん登場)

羽鳥アナ さて、え~っと、あ、それを聞かなければいけないんですね。じゃあ聞きましょう。お、おいくつでいっらっしゃいますか?

阿川 今年還暦(60歳)になります。まだ誕生日は来てないです。

池上 今あそこの階段を降りてくる時にね、みんな普通にスッと降りてくるのに、阿川さんだけ手摺りにつかまってお降りになった。

羽鳥アナ 池上君おかしい! 方向がおかしい!

阿川 池上さんてねぇ、すごく知性があって紳士で優しそうに見えるけど、案外心に悪魔を持ってますからね。


これは素直に驚いたなぁ。とても還暦には見えない、せいぜい50歳前後くらい。



★『聞く力』対『伝える力』

羽鳥アナ じゃあ始めましょうか。池上君、質問をどうぞ。

池上 あの『聞く力』について、先ほど羽鳥さんと話をしてて「羽鳥さん当然読んだんでしょう?」って聞いたらね、「いや、こんな当たり前の事を書いてある本なんて読むわけないでしょう!」とおっしゃってました。

羽鳥 そんな事言ってません、全然。

池上 「その話、後でしますからね」って言ったら、「そんな事絶対言ってません」って言いますというところまでおっしゃってました。

羽鳥アナ 池上さんはね、危ない人です。阿川さんのおっしゃるとおりでした。危ない人です。

阿川 危ない人です。

羽鳥アナ 聞く力』対『伝える力』、怖いですね。

池上 『聞く力』を書いてる人に質問するってものすごいプレッシャーですよね。

阿川 目が闘争的なくせに(笑) 全然プレッシャーに感じているようには見えないです。

池上 まあ、そうなんですけど(笑) でね、やっぱり本になるとね、色んなインタビューが見事にまとまってますよね。見事にまとめてらっしゃる方がいらっしゃるわけですよね。

阿川 あ、まとめている方が大変上手なので聞く人間は大した力がないということを池上さんはおっしゃりたいんだと思います。

羽鳥アナ 僕じゃなくて池上さんの方を見てもらっていいですか。

池上 (笑) インタビュー相手の色んな事をついポロっと本音を引き出すというのは、やっぱり阿川さんの、この一見純情そうな、ね、可愛らしい感じが相手の警戒心をつい解いてしまうのかなと。

阿川 池上さんはどういう武器で迫るんですか?

池上 私は直球の質問です。

阿川 結構直球なさいますよね? この間も石原慎太郎さんを怒らせたりして。

池上 はい、直球でやってますが。というより、阿川さんが私に聞く番組ではないんですね。私が阿川さんに聞く番組だということで、どうやって聞く相手の警戒心を解いてらっしゃいますか?

阿川 警戒心ってこっちだって本当にビクビクだし、これは真面目な話ですけども、相手によってはすごくビクビクだし、毎日「会いたくない! 会いたくない!」と思いながら出掛けるんですけども、とりあえず歳が下だろうと上だろうと、どういう職業であろうと、私がお招きするということはお客様ということだから、お客様が気分良くなるようにするっていう事を最低限考えます。もう一つは、私がインタビューする媒体が例えば週刊誌だったら、もう一人のお客様は週刊誌の読者、テレビだったら視聴者とかここで聞いてらっしゃる人とか、こういう人達が面白いと思う事を私が中間で果たさなければいけない役割もあるから、それを両方考えてにこやかに、でも時々突っ込まなきゃいけない時もあるし、ごきげんが良くなってから突っ込むとか。

池上 イケメンが来ると緊張しちゃうとか。

阿川 あーでも、イケメンはね、別の緊張がありますし。

池上 今、全然緊張してないでしょ?

阿川 うん、そうね。

池上 はい。で、イケメンが苦手と。

阿川 まあね、後は自分がすごく憧れてたり好きだったりする人だと思い入れがかえって自分が強くなっちゃうから、ゲストのちょっと答えにくいような質問を「なんか可哀想だから(質問)するのやめようかな」とか「もう結構です」って風になっちゃうと、お客さんに対して失礼な事になるし、舞い上がるから冷静に「ここの部分とここの部分は聞いてないな」っていう頭が巡らなくなるから、あんまり自分の好きな人には会いたくないです。

池上 なるほど。

阿川 逆に上手くいかないだろうと思って。

池上 私も阿川さんにあんまり会いたくないんですけどね。

阿川 そうでしょ、別の意味で。

羽鳥アナ このギスギス感は何なんですか。

池上 今一番会いたい人は誰ですか?

阿川 や、それは、本当に会いたいと思う人は怖くて会えないし、「なんかね」って思う人に会った方が「良い人だった」っていう喜びがあったりするから、特には。受注産業ですから。

池上 そうですね。

阿川 池上さんは今会いたい人はどなたですか?

池上 今ここで夢が実現しております。

阿川 つまんない、そのリアクション。

羽鳥アナ 僕らは面白いです。

阿川 なんか突っかかるんです。いつだって突っかかるの。

池上 いや別に阿川さんにだけ突っかかっているわけじゃないんですから。さっきは森喜朗元総理大臣にも突っかかっていました。


確かにインタビュアーとして冷静に仕事をこなすためには、自分の憧れの人とかには会いたくないという気持ちもよく分かる感じがする。顔を合わせ続けること自体大変そうだもんなぁ。

それにしても、池上さんは真顔で毒を吐くからほんと怖い。それが冗談なのかどうか非常に分かりづらいんだよね。



★仕事のコントロールは出来てるの? 池上さん

阿川 池上さんは175万部に対してどうして売れたという風に思ってらっしゃるんですか?

池上 全然実感ないですよね。

阿川 そんな事はないでしょ。

池上 いえいえ、ないですよ。

阿川 嬉しくないんですか? 私は嬉しいですよ。

池上 もちろん嬉しいですけどね。

阿川 ただメチャクチャ忙しくなるし仕事の量も増えるし、そういうことはつまり本来NHKを辞められてやりたかったという事が段々出来なくなるんじゃないですか?

池上 いえいえ、やってます。

阿川 やってらっしゃるんですか? それはコントロール出来ている?

池上 ええ、海外にちゃんと取材に行って原稿を書いてという事は、今もずっと続けてますし。

阿川 テレビである時期、各チャンネルで引っ張りだこで。

池上 あ、だからそれは止めたわけです。

阿川 じゃあ執筆の時間もある上で。

池上 執筆の合間に、まあ出てもいいかなという番組を選んで時々出ていると。

阿川 片手間らしいですよ。


さすが阿川さんという感じの質問。池上さんがほんとに執筆活動に専念できているのか知りたかった人は少なからずいたと思うので、これはなかなか興味深かった。しかし、レギュラー番組を降板したとはいえ高頻度で見掛ける気がする。



★テレビと週刊誌におけるインタビューの違い

池上 テレビでインタビューするというのは、やっぱり週刊誌でのインタビューとどこが違うんでしょうか?

阿川 それはでもね、週刊誌のインタビューを始めた初期の頃に気が付かされた時があって、それはテレビでずっとインタビューをしている時期が長かったから、特に外で出掛けて行って色んな人にインタビューすると、ちょうど羽鳥さんと同じようにその間は「はぁ~」「ほぉ~」「ふんふん」「へぇ~」っていう相づちをバンバン入れると、編集がしにくくなっちゃうんです、そのインタビューの収録が。だから、相づちを入れるなら無言で入れろって教育されたんです。

池上 今だから阿川さんがお話をしている間、私はひたすらこうやってます(無言でうなずく動作)

阿川 そうそう。そういうのがテレビのインタビュアーの約束事みたいなことになってるんです。これを私はそのまま週刊誌の方に持っていって、週刊誌でインタビューしている時に(無言で相づちを)やっていたら、「相づちを入れなさい!」って。じゃないと、一人だけが喋っているような事になっちゃうから、これでは対談ページとしてとても面白くなくなる。だから間にちょちょっと入れたり、「ほぉほぉ」とか「えっ? なぜ?」「わぁ、スゴイ」とか「なるほど」とかいう風な事を入れる方が、活字の時のインタビューの場合はリズムが出る。


週刊誌の方は分かるんだけど、テレビの方では無言で相づちという約束事があるのだね、なるほど。まあ編集のことだけじゃなく、相手の喋りに相づちが被って、音が乗っかってしまうのも難点なんだろうなぁ。



★阿川さんと昔イロイロあった男性達

池上 やっぱりどうしても聞きたい事があって、阿川さん昔イロイロあった男性ってずいぶんいらっしゃるんじゃないですか?

阿川 突然どっちに向かうんですか? この質問は。そりゃありますよ。

池上 ありますよね、例えば?

阿川 例えばって何? あの方とこの方とあの方とこの方。

池上 国会議員の人が色々出てきて、そのバトルを上手くこなしたり色々やってらっしゃるでしょ? あの国会議員の中にも昔お見合いした人がいたりするんじゃないですか?

阿川 ほんとにね、私あの~20代から30代前半ぐらいにかけて大層お見合いをしてました。だって、結婚願望強かったから、しました。そうしたら、互いに歳を重ねていくと、それぞれまあ私はこういう仕事を始めたけども、あちらだって会社に勤めてたし段々偉くなったりとか、色々な人生遍歴を経て、仕事を始めるとお見合い相手と再会したりする事が多いんですよ。ほんとに多いの。インタビューしに行ってどっかで見たなと思ったらお見合い相手だったりとか。

池上 つまり、いかに沢山の人にインタビューをしているのか? と同時に、いかに沢山の人とお見合いをしているのかということが分かるわけですね。


いかに将来有望な人と沢山お見合いしてきたかということも分かる感じですな。それだけ有名作家の娘というのは箔があるということか。



★阿川さんの“秘伝のタレ”

池上 でも、こうやって『聞く力』の本をね、私はもちろん出てすぐ買って読ませて頂いたんですね、そこが羽鳥さんと違う所。

羽鳥 読みましたよ。すぐ読みましたよ!

池上 で、そうそうこうやって色んな人から聞き出すんだよね、色んな失敗を繰り返すことによってこうなるんだよねって、大変参考になったんですけど、言ってみれば手の内さらしちゃったわけでしょ? やりにくくなりません?

阿川 でも、私があの本に書いたことを忠実にやっていれば必ず成功するという事は決してないわけで、相手によってどういう風にするかという事は毎回毎回違いますから。そうか相づちを打てばいいのか、オウム返しすればいいのかっていうことは無意識にやってますけれども、それをバラされたとしても、自分が実行したとしても「してないんじゃないか?」と言われたとしても、その時々のゲストとの化学変化によってどう対処するか決めますから。

池上 つまり秘伝のタレのレシピを公開したかのように見えるけど、「その秘伝のタレを使うのは私よ、他の人では使えないのよ」と、こういう話ですね。

阿川 なんでケンカ腰なんですか?

羽鳥 そうですねぇ、そういう気がすますねぇ。

阿川 私の事好きなの?

池上 バレました?

(ここで質問は終了)

羽鳥 阿川さん、池上君から質問を受けましたけれども、いかがでした?

阿川 池上さんに何度もお会いしてるんだけれども、やっぱり池上さん私の事嫌いなんだと思う。

池上 (爆笑)

阿川 それだけが大いなる実感です。

羽鳥 僕らも薄々そうなんじゃないかと……。

阿川 今度は仲良くお会いしましょうね。

池上 そうですね、はい。

羽鳥 この雰囲気、画面を通して伝わりましたでしょうか?(視聴者に向けて) 阿川さん今日はありがとうございました。


確かに『聞く力』という本を同業者(インタビュアー)からはどういう感想を持たれたのかが多少気になりますな。羽鳥さんからすると「当たり前の事が書いてある」ということらしいけれど(ネタ?)



てなことで、ほんとこんなピリピリ・ギスギスした対談初めて見た気がする。とりあえず書き起こしてみたものの、その辺の雰囲気までは伝わりにくいということが残念でならないです。いつ殴り合いに発展してもいいくらいな挑発合戦だったもんなぁ、とにかく面白すぎた。

池上さんてほんとに阿川さんの事が嫌いなのかなぁ? どっちとも取れる感じが非常に悩ましい。まあ何度も会った事がある間柄らしいので、からかい半分てところなのでしょう、たぶん。

個人的には、この対談は永久保存版となりました。円盤にでも焼いて大事に取っておこう。

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