幻惑の死と使途 森博嗣
引き続き再読しています、S&Mシリーズ。

今回は、かなり意外過ぎる犯人だったので、真相を知った時に正直ポカーンとしてしまった。犯人は被害者と顔が似ているだとか、被害者には替え玉・影武者的存在がいるという話って劇中に出て気てったっけなぁ? その辺が思い出せない。

そういう伏線があったのか否かよく分からないので、どうにも唐突に感じてしまい何とも言えませんでした。衝撃ではあったけれど。

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物語自体の面白さは段々と進化していっているのは分るものの、事件のトリックはさておき、「犯人はこいつだ!」という真相の部分がちょっと複雑になってきているので、若干置いてけぼりを食らうきらいがある。

ま、翻弄される楽しさというものも有るんだけど、もうちょっとスッキリ感が欲しいものだ。読者が贅沢なことを言って申し訳ないけれど。


本物と替え玉のバランス
とはいえ、最後に犀川先生が言及した「替え玉の方が本物」かもしれないという可能性が示唆された時、ちょっと背すじがゾクゾクっとしてしまったものだ。

たぶん芸能界ではよくある話のような気がするので、これは幻想でもなんでもないのだなと思い知らされてしまう。

本物と替え玉のバランスが取れている時なら何も問題ないけれど、いつその均衡が崩れるか分からない、そういった危うさの中で活動している人も今現在だっているのでしょう。

しかし、その危ういバランスの時にしか輝かないものだってあるのだろうから、本人達もその危うさを楽しんでいるケースだってあるのだろうね、そんな気がする。


色恋と執着
ただ、その危うさがストレートのものならまだしも、そこに色恋が介入してくると一気に崩れ去ってしまうのかもしれない。男女の問題は一筋縄ではいかないものだ。それこそマジックでその場を取り繕ったところで、何も解決には至らないから根が深い。

若い人間なら、まだ割り切ることが出来ることでしょう。だけど、結構年齢がいってしまったら、そこに執着してしまい、割り切るなんていう選択肢を持ってくることなんて難しいのかもなぁ。

だって、年を取れば取るほど、色恋に関しては“次があるか分らない”という危うさがあるわけだし、おのずと一つに執着してしまうのも否めない。

それこそ、本物と替え玉が恋敵になってしまったら、目も当てられないとしか言いようがないですな……。


それにしても、初期の頃は犀川先生が事件の真相に辿り着く時に、別人格が突然現れてたりしていたものだけど、気づけばそういうのが無くなってしまっているものだ。著者はこの設定は忘れちゃってるってことはないよねぇ?




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