有限と微小のパン 森博嗣
引き続き再読しています、S&Mシリーズ。

ついにこのシリーズも最終巻。まあ、最終巻に相応しい、大掛かりでアクロバッティブな内容であったと言えるのでしょう、たぶん。

大局的に見て、“真賀田四季ショー”をずっと見せられていたという感じなのかな? 四季が仕組んだゲーム、劇中に出てくる人物は皆ゲームのキャラクター。描かれる事象は虚構か現実か、非常に判断付き難かったように思う。

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仮想現実(ヴァーチャル・リアリティ)というものも、1つのテーマになっていたわけだし、何がどれがリアルなのだろうと頭を悩ませるのもまた一興ということなのかもしれない。

コンピュータの中の世界の方をリアルだと認識しても、それはそれで正解なのだろうし、観察者によって物事は変わってくるのだという、そんな視点を養うのには良かった気がする。


“狂言”を前提とした物語
しかし、本書をミステリ小説として読むと、一度は驚愕させられはしても、後から何とも言えない気持ちにさせられてしまうものだ、いやはや。

“狂言”というものがまず前提としてある物語なので、混乱することは必至。そこからいくつかの真実を探り当てるだなんて、ミステリマニア(もしくは天才)意外には無理ですわ……。

刑事さんまで演技していたわけでしょ? なかなかそこを疑うということはしないもんなぁ。「やられた!」というよりかは、「そりゃあないよ……」という気持ちの方が強いです。


動機があやふやでモヤモヤ
結局、犯人の動機というものもあやふやなまま終わってしまったし、ちょっとモヤモヤ感が残ってしまうような最終巻だったように思う。

でも、動機があやふやなのって、確か森博嗣作品のGシリーズもそんな感じだったと思うし、森さんがよくやるパターンだと思えば、納得がいくところではあるのかもしれない。

そもそも現実に犯罪を犯す人達だって、ガッチリと動機が固まっている人というのも多いわけでもないだろうし、あやふやという状態こそがリアルなのでしょう


それにしても、儀同世津子のお隣さんが○○だったなんて、これが一番本書の中で驚いてしまったものだ。確か漫画家の旦那さんがいるという話だったと思うけど、一体何者なのだろう? 単にお金で雇った人物というだけなのかな。




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森 博嗣
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