エディプスの恋人 (新潮文庫)なぜか七瀬が高校の事務員さんになって登場するという、冒頭からして頭の中がハテナマークで一杯にならざるを得ない展開。

え、前作クライマックスのあの緊迫感はなんだったの? あの「超能力者抹殺集団」はどこへ? などなど、全くそういったことについて物語上で触れられないので、かなりモヤモヤが募る感じではある。

しまいには、この世界はパラレルワールドなのか? など考え出してしまう始末。ここまで3部作一つ一つの印象がまるで違う作品というのも珍しい気がするものだ。

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しかし、そういった疑問も全て理由があり、それが明かされた時の衝撃たるやなかなか凄かった。


以下、完全ネタバレ


★七瀬自身の意志は初めからなかった?
超絶対者、宇宙意志という存在の登場。まさかそこまで大きなスケールになるとは思わなかったなぁ。そういった全知全能の神とも呼べる存在により、全てが仕組まれていたとか、正直ポカーンとするほかなかったわけで。

七瀬も前作の終わりに死んでいて、それを蘇らされたらしいし、結局彼女自身の意志なんて初めからなかったのか? と考えると、何とも言えない気分になってくる。

過去の不思議な事件に関連して「彼」を調べたりしたのだって、「彼」に興味を持たせようとする宇宙意志の力によるものだったのわけだ。全ては超絶対者の手の平の上で踊らされるだけのようで、読んでいて妙な居心地の悪さを感じてしまう。


★七瀬というヒロインの全否定
なんというか、七瀬というヒロインの全否定のようにも思えて、ちょっと読後感が良くない。超能力者、テレパスの凄さをこれまで描いてきたにも関わらず、そんな彼女にも最後まで乗り越えることの出来ない存在が登場してしまうとは……。

読んでいる側としたら無力感を覚えざるを得ない。七瀬自身もそれを受け入れるしかなく、宇宙意志の介在を許したまま生きていくことを選択するしかなかったわけだしね。

ある意味、著者自身の七瀬との決別のようにも思えるし、完結篇だからこそ出来た内容なのかもしれない。


それにしても、本書の「彼」って、父親に対する敵対視、ライバル視のようなものは全く無いようだし、エディプス・コンプレックスというよりかは、マザー・コンプレックスぽく感じるんですが。







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