魍魎の匣 京極夏彦
自分の本棚を眺めていて、ふいに目に付いたのでなんとなく再読。

本書がこのシリーズの中で最高傑作なんてことも一部で言われていたりするわけだけど、「ほんとうにそうなのか?」と再確認したかったということもあり手に取ってみた。

約10年ぶりに読むこともあり、内容をほとんど覚えていないから割と新鮮味があって面白かったように思う(ミステリなわけだし、中途半端にトリック等を覚えていたら再読してもつまらないよね)

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あらゆる細かい事象がことごとく絡み合っており、それでいて実は関連していない。しかし、怪しい怪しいと言わんばかりの繋がり方。何もかもを疑ってみてしまう。

そして、伏線がてんこ盛り。確かにシリーズ2作目にして、素晴らしく完成度が高い作品であるのは間違いないのでしょう。これだけごちゃごちゃした内容を上手いことまとめあげた構成力も素晴らしい


思想的な部分はちょっと薄い
ただ、シリーズを複数読んでいる身からしたら、別にこれが最高傑作だという風には特別感じなかったものだ、改めて読んでみて。

宗教を扱った作品が本書の後に何作も出てくると思うんだけど、本書では思想的な部分をそれほど突っ込んで描かれていないので、その辺に関してはちょっと薄く感じてしまうのも否めないのかも。

どちらかと言えば、一般的な人生観や価値観とは違うものを持っている人間にばかりスポットが当たっている感じで、この辺は普通のミステリでもよくあることだから、薄気味悪さの度合いはともかくとして本書が特別だとは思わなかったものだ。

(まあ、本書の場合は、新興宗教の話より研究所での話の方がメインだとは思う)


神の視点を持っているように見える京極堂
しかし、一般的とは乖離した価値観を正しいと妄信している人間について、よくそれを推し量ることが出来るよね、京極堂は。そんなの有り得ないだろと思ってしまう真実を上手いこと拾ってくるものだ、凄過ぎる(そもそもが価値観に正しい正しくないもないとは思うけれど)

視野が広いとか、寛容的だとか、そういうレベルでもない。自分がその人物に成り代わって体験しているかのように語るので、神の視点を持っているように見えてしまう。

でも、これはある種インチキ霊媒師らと同じように、あらかじめ沢山の情報を知った上で語っているみたいなので、種さえ知ってしまえば何ら驚きはないのだろうけど。

まあ、それだけ語り口が上手いという事なのだろうなぁ(とはいえ、この長広舌(薀蓄)を最後まで読んでいられないという人も割と多いのだろうけどね……)


それにしても、被害者然としていた少女の狡猾さには度肝を抜かれました。




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