新装版 コインロッカー・ベイビーズ (講談社文庫)約6年ぶりに再読。軍艦島が世界遺産に登録されたとか、そういう影響ではなく只なんとなく。

八方ふさがりという名の仮死状態「コインロッカー・ベイビーズ」(村上龍)

↑ こちらは以前書いた感想(文章はかなり下手) 今回読んだ時に感じたこととそんなに変わっていなくて、自分でも結構驚いてしまう。内容を忘れた状態で読むと、毎度同じようなことを感じる作品なのかもなぁ。

もしくは、自分の価値観に変化や成長が見られないという事なのでしょう、悲しいことだ。

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ま、そんなことはさておき、ほんとこの作品は終盤がとにかく重いの一言。ハシが狂気に堕ちていってしまう様が読んでいて辛いものがある

コインロッカーで叫び声をあげた後、本人は全ての人を幸福にしたいと願っていたにも関わらず皆に捨てられ、あげくは刑務所や精神病院という名のコンロッカーに再び捨てられちゃうとか……。

自分の欲しいもの、生きる目的を段々と失っていくハシと、子供の頃からずっと持ち続けていたキクとの対比がなんとも痛々しい。


★自分で自分を追い込んでいくしかなかったハシ
絶頂からの急降下、子供の頃からずっと劣等感を抱き続けて生きてきた人間にとっては、そこからの再起は相当厳しい道だというのは当然のことでしょう。

過去を捨ててきても、そういった根っこの部分にある感情は変えることが出来ない。でも、なぜもっと早く助けを求めなかった? と、思えてならないものだ。あれだけ素晴らしい人間が(個性派揃いではあるが)ハシの周りには沢山いたというのに。

プライドも高かったということなのかもなぁ。「もう逃げたくはない」という思いだって強かったことでしょう。なまじ我が強いもんだから、自分で自分を追い込んでいくしかなかったわけで……。

ずっと側で彼を見ていたニヴァも相当辛かっただろうと想像に難くないです。


★歌とダチュラ
13歳の時にデパートの屋上で催眠術をかけられ、子供の頃の治療が振り出しに戻ってしまったハシ。そこから、コインロッカーから復活した強大なエネルギーを放出し続け、終いには搾りかすしか残らなかったという不運

キクにとっての「ダチュラ」ように、そのエネルギーをある程度コントロールする術をハシも持っていたらと思えてならない。

正直、それこそが“歌”なのだと思いきや、自分を追い込む道具にしかならなかったというのが辛いものだ。まあ、それを仕事、金儲けに利用されてしまったのが運の尽きということか。

当初は、彼の歌にも嘲笑を狂喜乱舞させるエネルギーがあり、そこにダチュラを彷彿とさせるものがあったというのに……。


しかし、最後には、広い広いコインロッカー(東京)に捨てられたハシも、キクによるテロ行為によって多少救われ、居場所を見付けることが出来るようになるのかもしれない。彼らのその後が気になってしまう。







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