火花 (文春文庫)又吉さんの作品などあまり興味がなかったんだけど、本書を貸してくれるという奇特な方がいたので読んでみることにしてみた。

今回の芥川賞では、古舘伊知郎の発言などが物議を醸すなどしていたのも記憶に新しい。正直、何を今更といった発言だったけれど、それに対しまともに反応して批判している人が少なくないことにも驚いたものです。

ほんと、ここ近年は話題になることを狙った受賞者が多いのは周知の事実だと思うのですよ。そもそもが、書店で“本が売れない時期”である1月・7月に本を売るための話題作りとして開設されたものなんだから、その主旨で間違いはないんだけどね。

【スポンサードリンク】


なので、「本屋大賞も芥川賞も変わらんな」とか、「難癖つけてるのは、又吉に嫉妬してる奴だけだろ」とか、なんやかんやで批判するだけ野暮だと思うんだ。これはこういうものなのだと納得するだけのもの。


しかし、いとうせいこうさんなんかも、確か2回くらい芥川賞候補になったとは思うんだけど、受賞までは至らなかったというのがちょっと驚きです。

それなりに知名度はあると思うんだけどねぇ。でも、それほど話題にはならないと判断されたのだろうか。まあ、いとうさんファンというのもかなりのニッチだと思うので、これはもう仕方がない……。


★デビュー作にしてはよく書けている
で、前置きが長くなってしまったけれど、又吉さんの作品である「火花」の素直な感想。最初は批判的に読んでやろうと思っていたにも関わらず、思いのほか普通に面白かったです。そこそこね。

デビュー作にしてはよく書けている。これはまあ、芸能人作家ということもあり、最初から担当編集者さんが付いていただろうから、それなりのものが出来上がったということなのだろうけど。

これが無名で純文学新人賞に応募していたら受賞したか? と問われれば、どうなったかは分からないですな。


★こじらせてしまった人間も幸せそうに見える“お笑いの世界”
内容的には、お笑い論、漫才師論といった部分がなかなか興味深かった。お笑いの人も様々いて、何か目指すべき領域というものをそれぞれ持っており、そこにストイックに頑張っている姿がなかなか小気味よい。

ただ、意識が高くなり過ぎてしまい、周囲にも自分と同じだけのストイックさを求めてしまうという害悪。こういった人種ってどこの世界にもいるのだなと、しみじみ感じてしまう。

こじらせてしまった人間。そういった人って自分では気づきにくいと思うし、なかなか後戻りが出来なくなってたりもするんだけど、これが“お笑いの世界”という特性上ちょっと幸せそうにも見えちゃうから、ほんと特殊な世界だなと思わずにはいられないものだ。

でも、沢山の不安を隠すための突飛な言動であるかもしれないし、半分は天然かもしれないので、なかなか一般人には全てを理解するには難しい世界であるのは確かなのだろうなぁ。


★先輩後輩2人の会話ばかりで物足りない
しかしながら、登場人物が少ないというか、主要人物がお笑いの先輩後輩の2人くらいなので、終始その2人の会話ばかりで物語が進行してしまうから、その辺がどうにも物足りない。

や、2人の会話は面白いのは確かなんだけど、やっぱりそれ一辺倒だと厳しいよな……。

終盤に描かれた解散前のラスト漫才に関しても、主人公の相方への感謝の気持ちが凄く出ていて良かった反面、その相方自体が物語内ではほとんど登場してこないので(存在感が薄い)、どうにも勿体無く思えてならなった。

せっかくの漫才シーンですよ、見せ場のシーンですよ。もうちょっと相方を伏線として、色んな場面に登場させておくべきだったんじゃなかろうか。


それにしても、なんというクライマックス。お笑いの先輩が借金で蒸発してしまい、ここでとんでもない破局が待ち受けていると思いきや、まさかの“Fカップおじさん”が登場してしまうんだもんなぁ……(思いっきりネタバレだけど、読んでない人には意味が通じないと思うので問題なしだと思う)

何というか、無理矢理力技でねじ伏せて終わらせてしまった感があるっちゃあるけど、これはこれで悪くはなかったのかも。彼ら2人にバッドエンドは似合わない







Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

« »

Post Navigation